若い人間ほど自分の音楽観を発信してほしい。
「俺は音楽についてこう思う」
「私は楽器についてこう考えてる」
「僕はミュージシャンっていうのはこういうものだと思う」
十人十色という言葉の通り、人は10人いたら10人が別々の考えや価値観を持っています。
似ている価値観の人はいれど、完全に全ての考えが同じ人はいないですよね。
そして現代社会、1億総クリエイター社会と呼ばれる昨今。
SNSで音楽観について発信している方は多いですね。
ミュージシャンとはこういうものだ。
音楽でお金を貰うとはこういうことだ。
アンサンブルとはこういうものだ。
自分と違う考えを見ると、新たな情報が自分の中にインプットされます。
そんな時代に、多くの世代、多くの者が求めている情報。
それは、「10代~20代前半の人の持つ音楽観」です。
何故求められているのか。
人類を始めとした生物としての種や、その人類が生み出した文明や電子機器等は、例外なく新しいものが最新。進化している状態ですよね。
人類で言えば身長も高くなり、寿命も延び、知能も発達しています。
そして知能の発達した者が生み出したモノで溢れている社会に生まれ育つ子供は、より高度な情報を初めから身に着ける、身に宿すことができる。そして種としてさらに進化した社会を創りあげる。
大げさに言えば、世代ごとに新人類が誕生している状態です。
固い話ですが、ここまではよく言われていることですね。
ではその新人類がyoutubeやSNSを駆使して手に入れた、最新の音楽観。
これって、上の世代の人間では手にし難い、全く新しい最新の情報ではないでしょうか?
そして最新の情報って、非常に価値があるものなのです。
もちろん歴史的な知識だったり、リズムやアンサンブルの感覚、音楽の奥の部分は年齢とキャリアを重ねたベテランの方がより深い意見を持っています。これは間違いありません。
その知識や意見、見解は重視すべきですし、どんどん吸収すべきだと思います。
重要なのはその先。
さらに価値が発生するのは「先人たちの偉大な知見を吸収した新人類の新しい音楽への向き合い方、解釈」です。
新しいモノや考えには常に価値があります。
それが良いものであればあっという間に普及し現代社会になくてはならないものになります。iPhone然り。
仮にそれがあまり役に立たないものだとしても、何故新しいのに役に立たなかったのか検討・研究する材料にもなります。失敗は成功の基です。
10代~20代前半のミュージシャンの頭の中にある感覚こそ、まさにそれ。
皆さんの頭に中にあるのは、将来iPhoneと同じほどの価値を持つかもしれない情報=可能性です。
同世代にどう見られるのか。
自分の考えを発信する時に頭をよぎってしまうのは、人からどう見られるのか。
どうしても人の目が気になってしまうものだと思います。
一切気にしない人もいますが、気にする人は気にする。
こればっかりは性格だから仕方ない。まずは気にしてしまうことを認めるべきですね。
ちなみに言うと、僕は気にするタイプです。
で、まず同世代の人間にはどう見られるのか。
先にも書いたように、現代はハッキリ言ってSNSをが社会の中心の一部にあることは間違いない。
そして若い世代の人間の99%はなんらかのSNSを利用し、常に発信する人を目の当たりにしています。
それは音楽であったり絵であったり、映像作品、映画の感想、本の感想、恋愛観、ペットの動画、哲学、思想etc......
どちらかというと発信する側は少数派。それを楽しんでフォローする受信側が多数派です。
ここまで来ると分かるでしょう。
音楽観を何か一言でも発信することで、あなたは人から見られる「発信する側」に回ることができます。
フォロワーが700万人でも、1万人でも、500人でも、100人でも、20人でも。
そして同世代から「発信する側の人」と見られる、認知される。
実はただそれだけです。
もちろんよく思わない人もいるでしょう。
ただ考えてほしいのは、むちゃくちゃ人気のあるyoutuberにもアンチってめちゃくちゃいますよね。
ただそんなyoutuberはその数十倍いる自分を支持してくれる人に向けて発信をしていきます。
アンチを気にして目を向けてもしょうがないのです。
そしてそうした人間がネット社会のリーダーとなっているのは紛れもない事実。
規模は違えど、発信をする側に回ることによって、リードする側に見られるのです。
SNSが幼い頃より生活の一部になっている若い世代にとって、SNSで発信することはまったく恥ずかしいことではなく、むしろ前向きに捉えられるでしょう。
これで同世代の目を気にする必要はない、むしろ同世代の目こそ求めていきましょう。
先輩の目が気になる。
さて、同世代の目が気にならなくなったことで、次に気になるのは先輩や目上の方々の目ですね。
若造が調子乗ってると思われるんじゃ……。
変な色眼鏡で見られるんじゃ……。
貰ってる仕事もなくなってしまうんじゃ……。
誰にも誘われなくなっちゃうんじゃ……。
確かにこういった可能性はゼロではありません。
ただ、仮にこれから発信したいと思ってる、もしくは既に発信を行っている自分の身の回りの人間がこうである場合。
それは身を置いている環境が自分に合っていない。
ただそれだけです。
誤解されないよう言っておきますが、年上の人間が全員悪くて古い人間という意味だったり、先輩を侮辱・批判しているわけではないのでお間違いなきよう。
ただ、もし発信・創造している人間を同調圧力で潰そうとする、村八分にしようとするような環境があったとしたら……。
それは現代的ではないですし、この記事をここまで約2,200字ほど読んでいただいている人間が身を置く環境ではないです。
ただ音楽を演奏したり作ったり、それをライフワークや生業にしている人間は、やはり発信・創造する人間を称賛・応援する方がほとんどだと思います。
だって自分の中にある音という、裸よりも剥き出しの自分を人に見てもらっているわけですから。
“若造”の発信一つに目くじらを立てて怒鳴り込んでくるような人間はそもそもいない、と断じて発信していくのが一番ですね。
何を、どうように発信する?
さて、そうなると肝心なのは「何を、どのように」ですね。
これはもう得意技を使いますが、何でもいいんです笑
Twitterで140文字フルに使って自分のアンサンブルに関する考えを述べてもいいんです。
もしくは10文字だけでハーモニーに関する見解を述べてもいいでしょう。
Facebookで短文・長文で音楽シーンについて意見を述べてもいい。
ブログを作って楽器についての知識やアルバムのレビューをしてSNSでシェアしてもいい。
方法はなんでもいいのです。
若い世代の情報には価値があります。
たとえそれがどんな意見だとしても、何故そう考えるに至ったのか。何を見てそのように感じたのか。どの世代の誰と話してその価値観が作られたのか。
2000年生まれの人間もいまや18~19歳。そんな”子”達がどんな環境で音楽を聴いて、どう成長したのか。
そして、どんな音楽観を育んだのか。
上の世代からすると、その言葉や感覚一つ一つが、非常に貴重で、価値のある情報なのです。
最後に
この文章を読んで少しでも興味を持ってくれた方がいたら、是非とも自分の音楽観を発信してみてください。
もしかすると初手でバズるかもしれませんし、RTいいね共に0かもしれません。
でもそれでもいいんです。発信したことに意味がある。
そして、できれば継続してみてください。
僕もまだ文章を書いて長くはないですが、それでも継続することで新たな考えが生まれてきました。
自分の持つ価値観には価値があることを信じることが第一歩です。
最終更新日:2019/01/16
「曲聴いてこなかったけど譜面初見でできたわw」は絶対にやらない方がいい。
ミュージシャンがライブを引き受けた際、場合にもよりますが、演奏する曲の音源と譜面を事前に受け取ります。
現代社会は非常に便利なので、dropbox等にアップされた音源譜面を自由なタイミングでPCやスマホから見る、DLする、印刷する等音源譜面の受け渡しも非常にスムーズに行えます。
そして譜面を扱うミュージシャンにありがちなこと。
それは「曲聴いてこなかったけど譜面だけ見て初見で演奏できたわー笑」です。
これって譜面勉強中の人からすると「すげえ! かっけえ!」ってなる場合もありますね。
ただ老婆心から言わせてもらいます。
「これだけは絶対にやるな!」と。
何故やるべきではない?
導入部分を読んで「なんで? 譜面見ただけで演奏できるんだからいいじゃん」と思った人いますか?
確かに初見演奏は一朝一夕でできるものではありませんし、ある水準以上の知識や技術を要する特殊技能には間違いありません。
ただ、そう思った時点でミュージシャン的に黄色信号だと思います。
演奏は「譜面の中にある情報を追う」のではなく、「楽曲を演奏する」のです。
歌モノでもインストでも、アーティストのこだわっている部分だったり、その曲がその曲たる要素があります。
固有のリズムだったり、独特のハーモニー、特有のベースライン、セクションごとに異なる奏法、楽器同士の絡み方etc......
譜面の中の情報を追うだけだと、そうした部分を蔑ろにしてしまいます。
以上の文を読んだ上で
「いや、じゃあそういう部分は譜面の中に書いとけよ。そしたらやるから」
という意見もあると思います。
確かに重要なことが全て指定してあり、何もかもが完璧な譜面はありがたいし最強です。
ただ常にそうとは限りませんし、事前に音源も一緒に送られてくるということは、曲を聞いて確認してほしいというミュージシャンの想いもあります。
その想いすらも蔑ろにするということは、その楽曲のみならず、その演奏の機会そのものを蔑ろにしている、と捉えられかねません。
そしてそれは、何よりも恐ろしい「共演者の信頼を失う」ということに繋がっていきます。
共演者の信頼を失うということ。
共演者の信頼を失うと何が起こるでしょう?
まずは、今後そのミュージシャン主催のライブや演奏に誘われることは無くなるでしょう。
それだけならまだダメージは少ないかもしれません。
ただ仮に、そのミュージシャンに「誰か良いミュージシャンいたら誘いたいんだけど、知らない?」という話が来た時に、「〇〇君と××さん、△△さんがいるよ!」という紹介の候補にすらあがらなくなります。
何故かというと、紹介した先でまた共演者の信頼を失うようなことをされると、紹介した人間にまで不信感が広がりかねないからですね。
これによって、その人は本来得られたかもしれない演奏の機会、出会えたかもしれない人にも出会えなくなります。
そしてさらに恐ろしいこと。
仮に信頼を失い続けてきた☆☆さんがいたとします。
ミュージシャンの会話にもよく出てくるのが
「☆☆さんってどんな人?」
という話題です。
もう何が起こるか想像に難くないでしょう。
噂話というのは怖いものでどんどん尾ひれがついていきます。
そして音楽の世界といえどそれぞれの界隈は狭いもので、あっという間に噂は広まっていきます。
考えただけで恐ろしい、出会っていない人の信頼まで失う現象が起こります。
どうすれば信頼を得られるか?
ここまでくると、じゃあどうすればいい? という疑問が出てくるかと思います。
これは非常にシンプルな話。事前に貰った曲と譜面を確認してくればいい。ただこれだけ。
あえてもっと抽象的に言うならば、「目の前の機会をサボらず全力で取り組むこと」です!
まるで小学生に伝える言葉のようですが、これが超重要。
人の信頼は、こうしたシンプルな努力が積み重なって初めて得られるものです。
もしかするとPCやスマホが壊れて音源を確認できない、譜面を持ってこれない場合があるかも。
または演奏のその場で譜面を渡されるから必然的に初見になる。
そうした場合を除き、事前に音源や譜面が渡され確認できる時は、しっかりと確認したうえで演奏に臨むようにしましょう。
一番大事なのは人と人の信頼ですから。
そしてずる賢い方法を一つ。「やるならバレるな」です笑
まとめ
何度も言いますが、音楽でもなんでも、今の時代で一番大事なのは「信頼」です。
無駄な初見アピールは、寝てないアピール、勉強してないアピールくらい、アレです。
そしてミュージシャンが信頼を失いかねない行為の一つでもあります。
もちろん世界的な名演と言われてるものの中には「あれは知らない曲を初見でやってただけさ! HAHAHA!!」みたいなのもあると思います。
僕が考え付かないくらいの売れっ子で音源を聞く時間すら一秒もない人もいるかもです。
しかし今回の記事を読んでいただいた皆さんなら、大事なのはそこじゃないことが分かるはずですね。
とにかく何事にも全力で取り組みましょう。
そうすれば皆さんの目の前に新しい世界が開け、新しい道を歩んで行けるはずです。
最終更新日:2019/01/16
ミュージシャンがバイトを辞める時に言われた言葉
ミュージシャンに常につきまとう難題。
それはバイト生活から抜け出せない問題です。
音楽だけでは十分な収入が得られないため、週3~5で8時間前後のバイトを入れてお金を得る。
ほとんどの人間が通る道ですし、なんならメジャーデビューしたバンドのメンバーですらバイトを余儀なくされる現状を考えると、決してバイトをするミュージシャンを否定したり責めたりはできません。
ただぶっちゃけた話、心の底ではバイトせずに音楽だけで生きていきたいと、恐らくほとんどのミュージシャンが思っているはずです。
僕は音楽月収がわずか平均3~5万程度の25歳の時に思い切ってバイトを辞め、幸運なことにその一年後にはバイト時代の給料を超える音楽月収を得ることができました。
そんな状況でバイトを辞める際に言われた言葉をいくつか紹介します。
これからバイトを辞め専業になろうと思っている方や迷っている方がいましたら是非参考にしてみてください。
お金の言葉
最多です! もう当然であり必然ですね。
これは主に音楽をやっていない方から言われることがほとんどです。
最も多かったのは「やってけないでしょ?」「保険とか高いよ、どうするの?」。
次点で「これからどう稼ぐの?」です。
最多は支出に対する疑問。その次に収入の方法をどうするか、でした。
支出については現状の収入と支出のバランス、ある程度の貯金を作っているということ、収入についてはミュージシャンのお金の得る方法と自分の現状や見込みを説明するも
「ふーん、でもミュージシャンって稼げないんでしょ?」
やはりと言うべきか、ミュージシャン=稼げないというのが一般的なイメージとして完全に確立されています。
もちろんその側面はありますし、ともすればミュージシャン自身が「これは稼げるもんじゃないわ」というマインドを持っている場合もあります。
このイメージが覆る日は果たして来るのか……。
とにかく一番言われるのは、間違いなくお金のことです。
同時に、自分自身が一番考えなくてはならないことでもあります。
わざわざ人を納得させる言葉まで用意する必要は無いのですが、まずはこれを覚悟しておきましょう。
ネガティブな言葉
さすがに面と向かって「無理無理! やめとけ!」と怒鳴って来る人はいませんでしたが笑
しかしある程度のことは言われます。
最多は「まあ夢を追って好きなことできるのは若い内だけだからねー」です。
これはね、言われると悔しいですよ笑
多分これを言う人に悪気や悪意はあまり無いと思います。
ただこの言葉には「絶対苦労すると思うけど、まあ若さ故の過ちだよね」といったニュアンスがやはり含まれてしまいます。
個人的には「〇〇できるのは若い内だけ」という考え方は生き方を狭めるので、特にフリーランスで活動する人は絶対に持たない方がいい考え方だと思います。
しかし、若さに色々な可能性が詰まっていたり、若さから回ってくるチャンスがあったり、何より体力というアドバンテージがあるのもまた事実。
行動するのは早いに越したことはないです
他には「心配だわ」「そもそもその道で活躍なんてできるの?」「貯金無くなってくると段々精神病んでくるよ」等々。
言葉をかけてくれる人が心配してくれていることは分かりますが、裏を返せば成功より失敗や苦労の可能性の方が多く見込まれている、ということになります。
こうした一つ一つの小さい言葉も気にしない、耐えられるメンタルも必要になってきます。
ポジティブな言葉
この言葉をかけてくれたのは、ほぼ全員プロフェッショナルとして活動しているミュージシャンです。
「いいね! そこからだ!」
「これからどんな活動していきたいの?」
「君なら絶対大丈夫だよー」
やはり励まされるし、これからのことを話している内に発見もあります。
それは、みなバイトを辞めることを「収入が減ること」と捉えず、「音楽に充てる時間が増えること」と捉えていること。
そして、バイトを辞める時にはこの考え方が絶対に必要になります。
もちろんお金の話って超現実的な問題だし、絶対に目をつぶったり放棄してはいけません。
しかし、見る場所はそこじゃないんです。
「バイトを辞めて減った収入を音楽でどう盛り返すか」ではなく「バイトを辞めて増えた時間を使ってどのように収入を増やすか」を考えるのです。
先輩ミュージシャンでポジティブな言葉をかけてくれた方々は、明らかにそれを考えた上での言葉をかけてくれていました。
最後に
ミュージシャンがバイトを辞める時には、そのバイト先の店長や同僚であったり、身の回りの先輩、友達、後輩、そして家族から色々な言葉を言われると思います。
そしてその大体はネガティブな意見、心配する言葉です。
そこで萎縮したり押し潰されそうにもなってしまいます。
しかし、そこで諦めず、目の前の現実とポジティブな言葉に目を向け、その奥にあるミュージシャンとしての在り方、これからの過ごし方と稼ぎ方を考えてみましょう。
すると自分のやりたいことやどう活動していけばいいかが明確に見えてきます、
バイトを辞めた瞬間がスタートライン。
一歩踏み出す勇気が欲しい人の一助になれればと思います。
最終更新日:2019/01/16
ルーティンで自分を作れ~演奏前の精神統一~
皆さんはルーティンという言葉をご存じでしょうか?
ルーティンとは、同じ動作や決まった動きを定期的に行うことを言います。
例えばメジャーリーガーのイチロー選手が毎回打席に立つ際に行う袖をまくるポーズ。
例えばラグビーの五郎丸選手がキックの際に行う両手の人差し指を合わせるポーズ。
ルーティンと聞いてパッと思い浮かぶ有名なポーズにはこれらがありますね。
他にもサッカー選手やバレエダンサー、格闘家の方々等一流のパフォーマンスを見せる方々は独自のルーティンを持っていることが多いです。
これには、「ある場面の度に決まった動作を行うことで精神統一を図る」という目的があります。
ではこのルーティン、音楽に携わる皆さんは行なっていますか?
もしルーティンを行なっておらず、かつ演奏の度に緊張したり集中しきれない方がいれば、是非ルーティンを取り入れてみましょう!
ルーティンを行う意味とは?
上記の通り、ルーティンを行う意味は精神統一のため、集中するためです。
その結果気持ちが安定し、ステージに立つメンタルに切り替えることができます。
ここでいう安定は、「決して自宅にいるのと変わらない自分がステージに立つ」ということではなく、「ステージに立つ自分を作り上げる」ことを意味します。
両者の違いは?
「自宅にいるのと変わらない自分」と「ステージに立つ自分」。
両者の違いは何でしょうか?
「自宅にいる自分」とは、ただ単にリラックスしている状態です。
緊張を一切感じていない状態というのはよいのですが、言い方を変えれば何に対しても集中していない状態です。
それ即ちステージに立つ準備ができていない状態と捉えられます。
対して「ステージに立つ自分」とは、音楽に対してはもちろん、観ている人に対する振る舞いやステージの広さ、譜面台を使うならその位置、自分以外のメンバーの様子や音の聴こえ方等、全てに対して意識が行き渡り、集中しきっている状態です。
それでいて「緊張感はあるけど緊張はしていない」状態。
あえて重い言い方をすれば、その場のステージや音楽を創りあげる覚悟ができている状態と言えましょうか。
無論その状態に辿り着く、そしてそれを自覚できるのには、一定以上のステージ経験、場数が必要です。
そのため、ステージに立ち始めた最初の内に全てを上手く行おうとしても難しいんですよね。
なので最初期は自分の演奏の内容に加え、上記のどれか一つを意識し始めることから始めましょう。
実際のところ、集中している人間としていない人間のステージワークには驚くほど違いがあります。
演奏の内容から入退場等ステージ上での振る舞い方一つ、表情一つ取っても、その違いは顕著に現れますし、それはお客さんにもそのまま伝わるものなのです。
どちらが演奏の、ステージのためになるかは自明の理ですね。
ではその状態をどうすれば作れるのか? それこそがルーティンなのです!
何をルーティンにすべきか?
じゃあ何をすればええねん? と思う人も多いと思います。
実際のところ、何でもいいんです笑
例えばステージに立つ準備がそのままルーティンワーク=精神統一になっている場合があります。
- 楽器の調節をする
- 爪を切る
- ウォーミングアップをする
- ステージ衣装に着替える
- メイクを整える etc...
準備をすることで自分自身を作る、スイッチを切り替えることができます。
これを無意識下で行っている場合、意識して行っている場合は別れますね。
もしくは、意図してルーティンを作り上げるのもいいでしょう。
- 一人で散歩する
- 好きな曲を聴く
- トイレに籠る
- ステージの写真やセルフィーをSNSにアップする。
- アプリのゲームをする etc...
それらを何気なく行うのではなく、「これが俺のルーティンだ!」と定めれば、その動作を行い続ける内に自然とスイッチを切り替えることができるのです。
ちなみに僕の場合はお腹を満たすこととストレッチの2つです。
この2つはどんな場面でも遂行するようにしてます。
注意点
ルーティンを定着させる際に注意したいことがあります。
それは、遂行しにくいことをルーティンに設定しないことです。
例えば2時間ランニングをするとかカラオケで発声練習をするなどですね。
時間が限られていると2時間走るのは遂行できませんし、カラオケが近くない場面などもあるでしょう。
そうすると、それがルーティンとしてそもそも定着しにくくなりますし、仮に定着してもルーティンが崩れやすい危険性があるからです。
ルーティンがルーティンになりかけている、意識している段階では、それが崩れること=集中できないと思い込んでしまいます。
そうすると肝心のステージに支障が出る可能性もありますね。
なのでルーティンを定める際は、ステージに必要なこと、もしくは気軽に行えることに定めましょう。
まとめ
とにかく重要なのは、ルーティンは精神統一、そして結果としてステージに立つ自分を作り上げるために行う動作だと把握することです。
そしてステージに立つ状態というのは何なのか、現状自分ができることを踏まえた上で答えを持っているのがよいです。
どうしてもライブ前は緊張してしまう、もしくは気が抜けすぎて集中できなくなってきた、という方は意識的にルーティンを作ってステージに立つ自分を作ってみましょう!
最終更新日:2019/01/16
【音楽の最短上達法】音に「混ざる」と「乗っかる」の違いを知ろう!
音に「混ざる」
音に「乗っかる」
みなさんはこの2つの言葉を聞いて、その意味や違いが分かるでしょうか?
実際のところ、あまり意識することもないかもしれません。
この2つの意味を知ること、それはある意味、最短の音楽の上達法と言ってもよいかもしれません。
楽器の上達法ではなく、音楽の上達法です。
・「音に乗っかる」とは?
みなさんは楽曲を練習する場合、まず曲を聞き、フレーズをコピーし、曲に合わせて演奏する、という練習を行いますね。
またセッション曲などであればマイナスワン音源に合わせて演奏する、という練習方法があります。
これにより楽器の技術は上達していきますし、弾いたフレーズを自分のモノにしていくことができます。
そしてこの状態を僕は「音に乗っかる」と表現しています。
歌やドラム、鍵盤等全てが組み合わさった「自動的に流れる1個の音」に自分の「1個の音」を乗せる状態。
勿論このやり方が悪いわけではありませんし、自宅で練習する場合にはほとんどの場合これになるかと思います。
・「音に混ざる」とは?
これはもうそのままですね! 実際に人間と音を合わせる、アンサンブルを行っている状態です。
歌は歌、ドラムはドラム、ベースはベースで、「人間が奏でる複数の音」が混ざる状態。
大事なのは音に乗っかるの先にある、混ざる状態です。
・何が違うのか?
音に乗っかる感覚と混ざる感覚。この両者を比べた時、音が混ざる状況の方がより自分の音による効果効能をはっきりと体感することができます。
①リズム。
~自分の音が、全員が共有しているタイムに対してジャスト、前ノリ、後ノリのどこにあり、その結果アンサンブルにどのような効果をもたらすのか。
その楽曲において自分の音はどの楽器とどのように絡み合っているのか。その絡み合いを続ける・やめることによりどのように影響するのか。
仮にリズムが乱れた場合、他の人にどのような影響を生むのか。
②ハーモニー
~コードに対し何度の音がどのように響くかを、アンサンブルの「中」にいることでより強く体感できる。
→その音が持つ影響や感情をより敏感に感じられる。
逆にNGとされる音が何故NGなのかをより強く感じることができる。
③総合的なアンサンブル
~音の大小のみならず、①②により、アンサンブルをどのようにコントロールできるのか、他の人間がどのように変化するのかを肌で感じられる。
反対に別の人間のプレイが自分にどのような影響をもたらすかも知ることができる。
基本的なところだけでも、このような効果効能をより強く体感できます。
もちろん自分のプレイにいっぱいいっぱいになっている内は難しいのですが!笑
ただ、同じ曲を1年間アンサンブルでやり続けるだけでも、音楽的なセンサーの研ぎ澄まされ方を違ってくると思います。
より「音楽を上手くなりたい」と思う方がいるならば、是非バンドでもセッションでも、アンサンブルの中に身を投じてみましょう!
そうすると今まで見えなかったもの、感じなかったものが自分の周りに現れるでしょう。
自分の音のイメージを具現化しよう!
先日の記事でエレキベースの音のイメージについて触れました。
ドーンとかゴーンとか、はたまたボンッかトトーン、トゥクトゥク、ブリッなのか。
ギター、ドラムなど他のパートも同様で、一概にその楽器の音といっても色々な擬音で表現できます。
ではその音って、どうやって出せばいいのか? どうすれば表現できるのか?
それはひとえに、「タッチ」が全てを握っています。
ベースでいえば、右利きならば左手で弦を押さえ、右手で弦を弾きますね。
この「弦を弾く方の手」によって色々な音を表現するのです。
例えばドーンやゴーンはどう出すか。トゥトゥトゥは? ベキッは?
ロックっぽい、ソウルっぽい、ファンクっぽい、ジャズっぽい音は?
グイグイと迫ってくる音は、深く染み入るような音は、軽快に跳ねるような音は?
これらを弦を弾くベクトル、強さ、速さ、角度etcによって具現化していきます。
左手とのコンビネーションが必要な場合もありますが、だとしても重要なのは実際に弦を弾いて音を出す右手ですね!
こういった感覚は楽譜を追うだけではなかなか得難く、表現し難く……だからといって悲観的になる必要は全くありません!
まずは「あの音ってどんな感じで出るんやろなー?」と、ベースを持って色々と遊んでみるのがいいですね。
そしてイメージに近い音が出せたら、その感覚を失わない内に練習してモノにしちゃいましょう!
ライブは100点が100点じゃない?
音楽にまつわる不思議な話。
ポップスでもロックでも、ジャズでもヒップホップでも、音楽はやはり生、ライブが醍醐味、という方は多いと思います。
そんなライブにおける、成功と失敗って何でしょうか?
ビジネス的には集客等々も含めてになりますが、ここではそれは除外します。
端的に言えば、観ている人が楽しめたか、満足できたかどうかである、と僕は感じています。
音楽は芸術であり、エンターテイメント。
アマチュアだプロだと定義せず、どんな状況であろうと大事なのはあくまで「観ている人の感情」です。
これを意識した時に、不思議なことが起こります。
歌でもインストでも、仮にとてもそつなく、ミスなく、ハプニングなく、MCも流暢、滞りなく進んだ台本通り100点の演奏があったとして。
しかしそれが果たして100点のライブかと問われると、実はそうでなかったりします。
それよりも、曲中に多少のハプニングがあってもその場の機転で新しい何かが生まれたり、MCが噛みまくってもメンバーや観客がツッこんで笑いが生まれたり。
そうした瞬間に「面白さ」は生まれます。
また格好つけたアクションを試みて、失敗してずっこけても、観客さえ「それすら楽しい、結果的に面白かった」と感じれば、それは減点されるミスではなくなります。
ヴィクター・ウッテンが、フリーなベースソロ中に弦を切ってしまうも、残った弦で見事に起承転結が感じられるソロを弾きこなし観客をもっと沸かせる演奏をしたり。
ハーマン・リーがライブ中にギターを使ったアクションをした結果ストラップが外れる、ネックが折れるなど。(日常茶飯事)
こういった例も該当するでしょう。
もちろんこれらはミスをしてもいい、ハプニングが起こってもいい、という免罪符ではありません。
仮に数万人が動員されるドームクラスのライブで進行に滞りが出るレベルのミスやハプニングがあったり
小さいライブハウスでも観客の心が冷めるようなミスがあれば
それはただの「ライブの失敗」です。
こういった例を出した上で、つつがなく、ミスもなく、その代わりに大きな山場もなく観る人を刺激できないライブがあったとしたら、やはりそれは100点のライブとは言い難いですね。
観ている人が楽しめなかったとしたら、どんなに欠点のないライブでも、それは失敗なのです。
あくまで大事なのは、観ている人が楽しめるかどうか。
それを念頭に置いとライブを行うと、また一つ視野が広くなるでしょう。
ラッパー・呂布カルマの「ヤングたかじん」の詩で心が軽くなった話。
みなさんは今最も注目されているといっても過言ではないラッパー、「呂布カルマ」をご存知でしょうか?
最早説明もあまり必要ないのですが、名古屋在住のラッパー。JET CITY PEOPLEの代表にして
MCバトルをテーマに扱ったバラエティ番組「フリースタイルダンジョン」の2代目モンスターとして
チャンレンジャーとしてやってくる強者ラッパーを、圧倒的強さでバタバタとなぎ倒す。
グラサンにオールバックといったラッパーらしからぬスタイルで人気を博す人物です。
またゴッドタンに出演したりと、メディア露出もだんだんと増えています。
そんな呂布カルマの魅力はバトルだけではなく、むしろ楽曲にあります。
ひたすらに暗く冷たいHIPHOPは、SOUL’d OUTやケツメイシを聴いて育った僕には衝撃だったり。
その代表曲として「ヤングたかじん」という曲が存在するのですが
僕はその中の一節がミュージシャンにとって非常に重要なメンタリティを示していると思います。
1:26~
「いつもヤバイ たまにダサイ そん時はそん時でごめんなさい
二度は続かない 心配無い あの無様な姿今日のハイライト」
ハッキリ言って僕は過去の失敗を割と振り向くタイプです。
昔のことをうじうじしたってしゃあないのですが、どうしても
「あの大事なライブでダメダメだったな……」とか時折思い返したり。
そんな折に耳に聞こえたこの歌詞。
自分のパフォーマンスにひたすらに強い自信を持っているけど、人間だし常に全部が全部上手いこといくわけじゃない。
たまに失敗してダサい瞬間もあるけど、そん時はすんませんと。
さらには、これはたまたま。次はヤバいよ。
俺にとっては今回の無様な姿すらハイライトだと歌っています。
この「自分はヤバい」と自負する姿勢と、「たまにはしゃあないわ」と楽観的な姿勢が同居したメンタリティ。
僕にはなかなか持ちえなかった心持ちで、強い衝撃を受けたことを覚えています。
ラッパーが、ミュージシャンが、と区別するわけではありませんが、比較的楽器をやっている人間はあまり持ちえないメンタリティかと思います。
また、仮に同じ内容を歌うにしても
「大丈夫だよ、くじけないで。人は立ち上がれるよ」
と、やけにポジティヴな言葉で装飾されていたら、僕は見向きもしなかったと思います。
「ヤバい、ダサい」「そん時は」「あの無様な姿今日のハイライト」
決して奇麗な言葉ではありませんが、非常に人間的で、雑で、フランクで、人の心にすっとしみ込んでくる。
飾り付けない、装飾しない裸の言葉だからこそ、脳髄に刻み込まれ、僕らは耳を傾けるのだと思います。
この言葉を聞いてから、僕は割とこんな心持ちで演奏に挑むことが多くなり、現にそれが自信に変わってきてるなーと実感することも多々あります。
無論変な演奏になったときはちゃんと反省はしますが笑
もしも自分の過去の失敗などに悩む方がいたら、このメンタリティを大事にしてみてはいかがでしょう?
そして今回取り上げさせてもらった呂布カルマ。この人の言葉、詩は胸にザクっと切り込んでくる鋭利さを持っています。
この曲の他にも心臓をえぐられる楽曲が多いので是非聞いてみてください。