青木務エレキベース教室WEB支部

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ベーシストが「頼もしい〜っ!」と思うフロントの共通点

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集中短期連載「#頼もしくて恋するシリーズ」第5弾。

今回は「頼もしいフロントの共通点」です。

 

ここで演奏やセッションに日頃触れていない方には少し分かりにくい言葉が出てきましたね。

フロント」って何?

え? 玄関のこと?

スポーツチームの会長さん?

なんて考えちゃいますね。

 

フロントとは「前面・正面」を意味します。

そして演奏におけるフロントとは

観客席側から見て前面で演奏するプレイヤー

のことを意味します。

 

例えば

等の、そのバンド内で主にメロディを担当するパートがフロントと呼ばれます。

そのため、当然の如くボーカルだったり、ギタリストがメインでメロディを取るバンドであれば、その奏者がフロントと呼ばれます。

また裏を返せば、上記のパートの担当でも他に主役がおり、完全にサイドの演奏に回る場合はフロントと呼ばれない、ということでもありますね。

 

 

では改めて、バンドの先頭でメロディを取ったりソロを演奏することの多いフロントに頼もしさを感じる点はどこなのか。

 

 

こういった点のどこにどう頼もしく感じるのか。

詳しく解説していきましょう!

 

①テーマをさらうのではなく歌ってくれる

 

これがどういうことなのか……に入る前に!

テーマ」とは何ぞや?

と思う方も多いでしょう。

 

御大wikipedia氏から引用すると

 

音楽における主題(しゅだい、またはテーマ)とは、己を作る上での中心となる旋律、リズム上特徴のある段落(短い一区切りの旋律)をいう。動機の発展によってできた段落が小楽節であるが、多くの場合それだけで主題を構成する。主題の内容は、動機の変奏、動機の対比、動機の延長などによってできたものである。

 

面倒くさい。

 

こんな面倒くさい説明、僕は求めていないのです……。

雑に言って、「テーマ=曲の核となるメロディのこと」とふんわり覚えてくれればよしです。

 

さて、改めて「テーマをさらうのでは歌ってくれる」とはどういうことでしょうか?

あえて広く雑に言いますと、音にはその高さ(=周波数,Hz)に応じて「ド」とか「ソ#」とか「シ♭」など、音に名前がついていますね。

そしてメロディはそれら音の連続した組み合わせによって構成されるものです。

ド~ド~ドッシ♭~ラ♭~~」のような。

ちなみにこれを歌うと宇多田ヒカルのAutomaticになります。

 

そしてこれを楽器で弾く際。

単に「ド、ド、ド、シ♭、ラ♭」と、音の高さと音符の長さ(=音価)を合わせる、「その音符の弾くだけ(=なぞる)」なのか。

それとも「It's(ド) Au(ド)to(ド)ma(シ♭)tic(ラ♭)♪」と「歌うようにメロディを奏でてくれる」のか。

頼もしく心地いいのは後者です。

 

平たく一言で言うと「歌心」という言葉になり、それを全て説明・解明するにはとても多くの言葉と年月が必要になるので今はやめときます笑

ともかく欲しいのは「メロディを弾くだけではなく、その楽器で『奏でる』ぞ」という「意識」。

その意識がある演奏は聴いている側も、後ろで演奏している側にもとても心地よく感じます。

ひいては、「頼もしい」という感情に繋がっていくんですね。

②MCもエンタメ

 

これは自分自身に対する戒めでもありつつ……。

 

というのも、MCって難しくないですか!?

正解があるわけでもないし、その場の状況によって受け入れられる言葉は変わりますしね。

変な話、下ネタがウケる場・ウケない場もあり

真面目な、感動する言葉がウケる場・ウケない場

ボケがウケる場・ウケない場

もあります。

 

MCをバンドのフロント、もしくはリーダーが行うのが通例ではありますが、無論サイドのメンバーにMCを振られることがあります。

僕などはそこで何を言おうか迷い、結果わけわからんことをだべってしまう、なんてことがよくあります笑

反省反省……。

 

が! そんなサイドの僕よりも圧倒的に多くの言葉を喋る必要があるのが、そう、フロントですね。

そこで、場にそぐう言葉で場を繋ぐ、ひいてはお客さんの心も掴めるMCができる。

言うなれば「MCによってその場を演出することができるフロント」。

お客さんの意識もステージに集中され、曲の世界に入りやすくなるようなMCをしてくれる。

こんなに頼もしいことは、実は無かったりします。

③人のソロ時の振る舞いこそ気を抜かない

 

これ実はすごく大切です。

というのも、これは実際にあった出来事なのですが。

ある歌アリのライブで、後日に来場いただいた方から言われた言葉。

 

「良かったんだけど、ボーカルの〇〇が別のソロの時すごいつまんなそうに、ぽけーっとしているのがずっと気になったなー」

 

 

うわー! 怖ー!

 

恐怖心を抱いた方は僕だけではないと思います……。

背筋が凍るような言葉ですよね。

 

これは細かい部分ですが、とても大切なことです。

僕はメインの歌がある曲・ライブは全て歌のためにあるべきだと考えています。

その考えで言うと、楽器のバッキングはもちろん、楽器のソロも楽曲のため、ひいては歌のために存在しています。

「ソロの部分だけかっこいいー!」ではなく、「ソロかっこいいから曲そのものがかっこいいー!」である必要があると。

 

しかし!

そこでボーカルが自らの振る舞いによって、「楽器のソロよりも振る舞いが気になるな……」と思わせてしまうと、結局はその楽曲が引き立たない。

そうなるとボーカルそのものが引き立たず、むしろマイナスの目で見られてしまう、ということになりかねませんよね。

 

ボーカルを例に出させてもらいましたが、もちろんボーカルだけに限りません。

他のフロントを張る楽器にも言えることですよね。

そしてベーシストがフロントやリーダーなら、やはり同様のことが言えます。

 

頼もしいフロントのプレイヤーは、他のパートのソロの時(=自分が弾かない時)もしっかりと場を演出する振る舞いをしています。

自分の振る舞いすべてがステージに影響を与えることを知っているんだと思います。

 

それを頭に置いておくと、自分がいざフロントに立つ際の意識も変わりますし、憧れのプレイヤーの振る舞い・ステージの演出の巧みさにも気がつけます。

フロントを張る際はこのことを心がけておくと、とても頼もしいフロントになれます。

④"自分"をさらけ出してくれる

 

②や③の話と少し相反する部分があるように感じてしまうかもしれません。

しかし実は相反しない、ということを先に断っておきましょう。

 

お客さんがフロントに求めるのは「パーソナリティ」だと思います。

その人の性格、キャラであったり、それをフィルターとして紡がれる音であったり。

それらは決して前向きだったり、明るくなくてはならないわけではありません。

物静かなら物静かでいいですし、スピリチュアルならそれでもいいですね。

豪快であればあるほどパワフルさを感じますし、奇人変人ならそれもよいでしょう。

 

そこで、振る舞いや演奏を「自分の性格やキャラと違うけど無理にその場に合わせる」ようなことをしてしまうと、不自然さを感じてしまいます。

主観も混ざっているベーシストですらそうならば、客観性オンリーで見ているお客さんはなおさらですよね。

 

やっぱりフロントには「振る舞いも演奏も、自分の色を100%出し切ってほしい」と願っています。

どんな場でも自分の性格を変えず、自分の演奏をしてほしい。

自分をさらけ出した演奏はとてもナチュラルで、フロントがバンド全体を引っ張ってくれる感覚があるのです。

 

「②では場にそぐうMCがいいって言ったじゃねーか!」

「③ではステージや楽曲のために振舞えって言ったじゃねーか!」

この章の冒頭で触れたように、相反する部分があるように感じてしまうでしょう。 

これは実は相反していないのです。

 

自分のキャラや性格の中で、場に相応しい言葉を選択する。

ステージや楽曲のために、自分を客観視し、最も映える振る舞いを選択する。

相反するどころか、むしろ同様といってもいい内容ですよね。

 

やはりフロントにはそのパーソナリティ、個性を発揮してほしい。

そうすることによって、そのステージ、ライブがより良いものになっていくからです。

これが「頼もしさ」の要因の一つですね。

⑤ソロは絶対に半端にやらず絶頂までイキきる

 

最後はやはりこれ。

「頼もしいと思うセッション中の出来事」にもありましたね。

 

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パーソナリティを発揮し、文字通りそのバンドの「顔」となるフロント。

やはり、自分の見せ場で最も輝いてほしい、と思いながらベーシストは弾いています。

 

「絶対に点を取る気概のあるフォワード」

「絶対にホームランを打つつもりの4番打者」

 

チームの顔が攻めに攻めたプレイをしてくれると、やっぱり頼もしいです。

 

頼れる点としてテーマを歌う、MCもエンタメ、振る舞いに気遣いがある、自分をさらけ出す、とあげました。

しかし、最終的にはやはり自分の見せ場で最も攻め、最も輝いてくれる瞬間。

これが最も頼もしく感じます。

最後に

 

ベーシストの目線からみると

  • 自分らしく
  • かつステージへの気遣いがあり
  • そして自分の見せ場で最も輝く

こうしたフロントに頼もしさを感じます。

 

こういったことは実は少しの意識だけで実現できると思います。

もちろん経験がある方はより巧みになっていきますが、やはり大事なのは意識です。

この記事を見て、今度のライブではこれを意識してみようかな、という点があった方。

是非1つずつ意識し、実践してみてください!

頼れるフロントへの道を歩んでみましょう!

 

 

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