ジャムセッションに参加することのメリット
ジャムセッションという文化は、現状なかなか広まりにくい文化であると思います。
- 怖そう
- 敷居高そう
- 何すればいいかわからん
- それって楽しいの?
- つーか楽器弾かないし
- そもそもジャムセッションって何?
参加したことのない方にとっては、様々な理由や懸念があり足を運びにくく、偶然それが行われている場に居合わせることはないです。
その結果、あまり広がらない文化になっていますよね。
そんな様々な理由が考えられますが、僕は現実的な問題として
「参加することによるメリットや、何がどう有益なのかが想像し難い、不透明であること」
が問題であると思うんですよね。
人ってメリットがあるのかどうかわからないものには迂闊に手を出さないものです。
では逆に考えると、そのメリットが明らかになればもっと人が来やすくなり、文化も広がるのでは?
というわけで、今回はジャムセッションに興味を盛り、足を運んでくれるように、参加することのメリットを紹介していきます!
クラブに人が集まる理論
では不透明になっているジャムセッションのメリットを紹介する前に、すごく透明になっているもの。
クラブに行くことのメリットを説明します。
そのため、めちゃくちゃゲスな理論を展開させますね笑
人がクラブに行く理由って何でしょう?
- 踊りたい
- 大音量で好きな音楽を浴びながらお酒を飲みたい
- 好きなDJに会いに行きたい
等々。この他にも色々な理由があると思います。
しかし、クラブに行く人全員がそうじゃないですよね。
- 別に踊りとか興味ない
- テクノ、ハウス等クラブミュージックに興味ない
- 好きなDJとかいない
こういった方でも、例えば男子大学生4,5人とかでクラブに行くことってあると思います。
でも、こういった男子大学生がふらっとジャムセッションに遊びに来ることって無いですよね。
これって何故でしょう? 何故違いが生まれるのでしょう?
この時、男子大学生達にはクラブという場所に行くことのメリットがイメージされているんです。
即ち「女の子と仲良くなれんじゃね!?」というメリットです。
別にクラブという場所や文化に興味なくても、お酒飲みまくって、女の子がたくさんいて、んでちょっとムフフなこともあるかも、という確立されたイメージがあるが故生まれる思考ですね。
そしてそれを公言する必要はなく、「音とお酒と踊り」という隠れ蓑があります。
あくまでそれらを楽しみに行くんだぜというテイにできる、下心を隠せる。
だから「行きやすい」んですね。
もちろんクラブに行く人が全員こういうわけではありません。
純粋に音楽や場所が好きだから通う人は大勢います。
その一方でこういう方もいる、ターゲット層にしているのは事実ですよね。
クラブ側も女性は格安、もしくは無料という料金設定にして女の子が来やすい仕様にしていますしね。
クラブの場合、純粋に好きだからという方を除いた場合、「欲求を満たせるかもしれないという有益さ、メリット」と「下心を隠せる行きやすさ」を兼ね備えているから人が集まりやすいんだと思います。
そしてこれはジャムセッションという場にはないものですね。
改めてジャムセッションのイメージって?
さて、ではジャムセッションというに足を運びづらい「理由」は何でしょう?
僕がジャムセッションに参加していない頃に持っていたイメージをざっと書き出してみます。
- 怖い場所なんじゃないか
- 楽譜を読めなきゃ何もできないんじゃないか
- 知らない曲をいきなりやらされるんじゃないか
- セッションホストとかいう人に何か厳しいこと言われるんじゃないか
- というか他の参加者にも何か言われるんじゃないか
- そもそも流れも雰囲気も形式も何もわからねえ
- 見学とかありなん?
ざっとこんなイメージを抱いていたり、内容を何もイメージできてなかった頃ですね。
うん、これは見事に楽しくなさそう!笑
わざわざこういった場所に足を運ぶ理由って、興味を抱き始めた人だとしてもなかなか無いですね。
さらに先の例えでも出た男子大学生数名がふらっと来る場所では絶対にないですね。
そしてこのイメージからメリット、有益さを想像することってすごく難しい。
ミュージシャンの中には「上手くなりたいならどんどんセッションに参加するのがいいぜ!」という方は多いですし、僕も肯定派です。
それでも、こんな武者修行みたいなことをするくらいなら家で技術を磨いたり、固定のバンドを組んじゃう方がええやん、楽しいやんと思う気持ちは分かります。
「参加することによるメリットや、何がどう有益なのかが想像し難い、不透明であること」
ジャムセッションという文化そのものや、その内容や質には関係ないやん!
と思う方もいると思いますが、やはり根深い問題だと思います。
ジャムセッションに参加することのメリット
では本題!
ジャムセッションに参加することにより得られること、有益な点は何なのかを解説していきます!
そして先に総括を言っておくと、「音楽的に成長できること」です。
その理由を一つ一つ解説していきます。
人との繋がりが増える
これは想像しやすいと思いますし、人がセッションに参加する理由の一つだとも思います。
少し打算的な、下心があるように聴こえますが、内容は決してそうではありません。
- セッションを取り仕切る役割、そのセッションの顔であるセッションホスト
- そのセッションに参加しているミュージシャン
- そしてその店のマスターやスタッフの方々
こういった方々との繋がりができますね。
ホストと繋がれば、その場で演奏のアドバイスを貰うことができますね!
もちろん他の参加者もいる場合は一人ひとりに割くことのできる時間は変動しますので、質問を100個200個してしまうと困らせてしまうかもしれませんが笑
即座に自分の演奏のためになる情報を貰えるというのはかなりのメリットであると思います。
ミュージシャンと繋がると、共にバンドを組む、ライブを共にする等派生し、そこから更なる繋がりが増えていきます。
そのミュージシャンが別に自分のセッションを持っている場合もあります。
自分と同じような世代であれば普通に友達になり、「あのセッションも気になってるから一緒に行かない?」と、他のことにも取り組みやすくなるでしょう。
お店の方々と繋がれば、その店で演奏を組ませてもらったり、演奏や他のイベントについてなど、色々なことを教えてもらうこともできますね。
なんなら単に飲みに行く場所が増えるというメリットもあります笑
「俺は演奏しに来ただけだ。関わるな」というスタンスの方はこれまで見たことはありませんので、セッションの場に来たら積極的に人とコミュニケーションを取ってみるとよいでしょう!
勇気の要ることですが、そもそもジャムセッションに来るという大きな大きな勇気を持っている方ならできるはずです!
見学でめちゃくちゃ気軽に生演奏を楽しめる
まったく楽器はやらないけど音楽やライブが好き、という人にもメリットはあるんです。
セッションは、入場した方が全員演奏しなければならない、というわけではありません。
「あ、見に来ただけです~」と言えばそれだけでOK!
ライブより固くない、むしろリラックスしたゆるい雰囲気なのがジャムセッションの特徴!
「上級者向け!」と銘打ったものでなければ、雰囲気は柔らかいです。
ふらっと行ってゆるーく自由に演奏を聴いて、最後までいなくても大丈夫、頃合いを見てさっと帰ることもできます。
実は生演奏を聴く、という意味でもすごく気軽に聴けちゃうのがジャムセッションなんです!
そして上に繋げて、他のお客さんやミュージシャン、店の人とも仲良くなっちゃえば、掛け算式にその場の楽しみも増えてしまうということなのです。
人によって演奏の内容が変わることを知れる
これが音楽的に非常に強いメリットですね。
ポップスやロックバンドのコピバンをやる場合、各楽器ともリズムやフレーズ等、全て可能な限り音源通りに、スコア通りに、似せよう似せようとして演奏しますよね。
人によって変わるのはその完成度であって、「人によって音楽の色が変化すること」はどうしても体感できません。
セッションの場合、例えばテーマ(曲の核となるメロディ)を演奏する場合でも、その人の演奏の仕方に委ねられます。
「できるだけ桑田佳祐っぽく! 山下達郎っぽく! 宇多田ヒカルっぽく!」ではなく、「その人の演奏の仕方」で歌っていいわけです。
そしてそれはベースやドラムも、ギターもピアノでも、全員同じ。
各プレイヤーが自分なりのフレーズで演奏してよく、それによって「音楽の色が変化する」というまったく初めての経験ができるのです!
「ここの部分、自分ならこう弾くけど、あの人はこう弾くんだ!」
「すごい! 同じ曲だけど盛り上がる箇所やソロ順が全然違う!」
「16ビート、8ビートっていっても、人によってドラムの叩き方とか音が全然違う!」
同じ曲を別のメンバーで演奏した際、各々の持つリズムや音色によって演奏が全く違くなることをリアルタイムで体感できます。
さらに、セッションは即興性のあるもの。同じメンバーでも同じ演奏は二度と起こりえません。
こうした「人それぞれのリズム、ビート感覚」「セッションの作り方」等を常に学び続けることができるのは大きなメリットでしょう。
譜面に強くなると、他の人の演奏がより理解できる
ジャムセッションでは譜面を扱って演奏します。
もちろん最初は譜面を読むこと自体にいっぱいいっぱいになってしまうかと思います。
それについては読み方を知って、演奏して鍛えましょう!
さて、いざ譜面を見て演奏することがだんだんできるようになったとします。
その状態で、自分が慣れている曲を別の方が演奏した場合。
「あの部分ってこういう演奏の仕方もできるんだ!」
「あ、ここは俺も同じように弾くなー」
「え! こんな風に変えてもセッションってできちゃうんだ!?」
と、他の人の演奏している内容をより深く理解することができます。
それはセッションの場に限らず、youtubeで色々なセッション映像を見る場合でも同様です。
自分の好きなプレイヤー2名が同じ曲を演奏している動画などあればラッキー!
同じ曲でも全然違うアプローチをするんだなー。ここはこういう意図でこういう演奏をしてるんだー、と。
それを自分と比べてみたり、自分の演奏に取り入れてもいいでしょう。
人の演奏を理解することで音楽的にものすごーく成長することができます!
アンサンブルの感覚を磨くことができる
これも音楽的な成長に直接繋がる内容です。
例えばリズム。
「人によって演奏の内容が変わることを知れる」の内容にでもあるように、人によって持っている、出してくるリズムは異なります。
そこで自分がどのようなリズムで対応すれば気持ちよくはまるのか。
他の人がこう弾いてるから、自分はこう弾けば気持ちいいという楽器の絡み合い方。
そして編成によって演奏内容を変える必要があることなどを、常に体感できます。
そしてフレーズ。
このコードの中でこの度数で、またはこのフレーズを弾けばどういう感じに響くか。
その結果、アンサンブルがどう盛り上がるか。もしくは盛り上がらないのか。
マイナスワンで練習したり、コピーで演奏しているときには実感し難いことです。
度数で音を考える癖もつけられますし、自分の音によって人がどう反応するか、アンサンブルがどう変化するかをひたすら敏感に学び続けられるのです。
逆に、ひたすら同じフレーズを弾き続け全く変化させない場合セッションはどうなるのか、等音楽的な実験も行うことができます。
さらにこれらを同じメンバーと同じ曲でやっても、同じ反応が返ってこない場合もあります。
メンバーや曲が違うならなおさらですね。
それでもアンサンブルは止まらず、前に進んでいきます。
そこで、すぐにその場におけるアンサンブルのツボを掴んで、よいアンサンブルに導くという技術も磨けます。
これに長けているのがセッションミュージシャンなわけですね。
最後に
冒頭でも触れたように、ジャムセッションってどうしても参加しづらい、なにか怖い印象があると思います。
でも、一度参加した方は通って、色々な場に顔を出していますよね?
それって即ち、ジャムセッションは怖くない、楽しいことなんだよ、という意味に繋がります。
もちろん、先の例えで出した、「クラブに遊びに行く男子大学生」がふらっと来るメリットは無いです。
ただ色々なことがやりたいミュージシャンにとっては非常に大きいメリットがあります。
ジャムセッションにはこのように音楽の力をとてもとても大きく、さらに豊かに成長させることのできる絶好の機会なんです。
速く弾く、決められたフレーズをしっかり等の身体的なテクニックではなく、生きた音楽を操るという音楽的なテクニック。
これを最も体感し、成長させることができるのは、このジャムセッションに他なりません。
音楽の新たな扉を開くことのできるものなのです。
音楽の新しい扉を開きたいなーと考えている人は、是非ジャムセッションに足を運んでみてください!
今まで聞いてきて、感じてきた音楽とは全く別物の世界がどこにはあります。