ミュージシャンが使う譜面を90%読めるようにする方法【音源譜面で実践】
ジャムセッションに参加したり、サポートやセッションライブを行う際に、ハードルの一つに数えられるもの。
それは、譜面を使うことです。
楽器を始めた後、オリジナルバンドやコピバンを組む、大学の軽音サークルに入るなどした人たちは、練習用にTAB譜やドラム譜、触れる人は五線譜に書かれる音符までは触れることはあると思います。
が、Cメロ譜・リード譜と呼ばれる「全員が共有し、それをリアルタイムで見ながら演奏する譜面」に触れることはなかなか無いんですよね。
ちなみに僕がまさにそのパターンでした笑
そしてジャムセッションの場やライブの際はこういった"譜面"を使うのですが、どうにも触れたことがないのでハードルに感じる。
言うなれば抵抗があると思います。
触れたこともない、得体の知れないものを見ながら演奏するのって難しい。
それならそもそもそういった場所に足を運ばない、というのは自然なことですよね。
これ、逆に考えてみましょう!
逆に考えれば、譜面の読み方さえ分かればセッションにも参加しやすいのでは?
譜面のどこをどこまで読めばいいか分かれば、気軽に足を運べるようになるのでは?
得体の知れないものではなく、正体が知っているものであれば触れやすくなる。
これも自然なことですよね。
今回はそんな譜面を90%読めるようにする方法。
ここを最低限抑えておけばいいよ! というポイントを解説します。
さあ、譜面の世界に飛び込んでみましょう!
今回のステップ
今回の記事のステップをあらかじめ紹介しますと。
- まずは譜面を確認。
- セクションごとに進み方や記号の意味を確認。
- 最後に音源を聴きながら譜面を読む。
この流れで進めていきます。
なので、譜面を見て「記号の意味は分かるから答え合わせだけしたい!」という方は一気に3まで進んでしまっても大丈夫です。
記号の意味も知りたい、ポイントも知りたいという方は長い2の部分を見ていただければと思います!
なお、基礎の基礎である「五線譜とは」「小節線とは」「コードとは」等の説明は省いている内容となっておりますのでご了承ください。
まずは譜面を"見"てみよう!
まずはこちらの譜面を見てもらいましょう。
いかがでしょうか? 何がどうなっているか、分かりましたか?
いきなり言ってしまいます。
この譜面さえ読むことができれば、譜面を扱う演奏の大体には対応できます!
日頃譜面を扱う人間がこの譜面を見ると
「イントロがこうでAメロがこうで……あ、ここ繰り返しでこう飛ぶのね。ソロがこの順で回数は適当か……で、ここ回し注意だな。で最後こうなって、うん、OK」
と、大体10秒くらいで曲の進行を把握してしまいます。
シンプルな譜面ですので、大袈裟ではなく本当にこれくらいの時間で把握できます。
そんなミュージシャンが見ているのは、譜面に書かれている記号。
コード以外に書かれたへんてこなマークやD.C、D.Sといったアルファベット、また1,2,X等書かれた記号を見ているのです。
ということは、これらの記号が分かれば曲がどう進むのかを一瞬で把握できちゃうということですね。
では各セクションごとの解説を見ていきましょう!
記号やポイントを確認しよう前編
イントロ~Aセクション
- イントロのリピート記号
- 1カッコの末尾に付いているD.C.
- 1カッコ、2,3カッコの存在
- Aセクション頭にある謎の記号は?
ここのポイントは4つですね。
Introのセクションの1小節目のはじめと4小節目の最後。
太い線に細い線、そして点が2つついていますね。
これをリピート記号といいます。
「これで囲んだ部分をもう1回演奏しまっせ!」という意味です。
イントロはC-Am7-A♭△7-G7の4小節を2回、つまり8小節分演奏するということですね。
とてつもなく頻出する最重要記号です。見逃さないよう注意しましょう!
Aメロに突入した後、8小節目に「1カッコ」、9小節目に「2,3カッコ」という記号があります。
砕いて言うと「Aメロを何回か演奏するとき、1回目はこっち、2,3回目はこっちいきまっせ!」という意味です。
ということはAメロに突入していった後は、まず「1カッコ」の小節に突入します。
そして1カッコに突入すると、8小節目の末尾に「D.C.」という記号がありますね。
これは「曲の頭に戻るよ!」という意味の記号。
ということはこの時点での曲の進み方は
「イントロ~Aメロ(1カッコ)~イントロ」
と戻ることになります!
このD.C.した後のイントロも、特別な記述がない限りリピートするので、しっかり8小節演奏します。
この点も抑えておきましょう!
イントロを8小節演奏した後はまたAメロに突入。
2回目のAメロなので「2,3カッコ」に書いてある部分を演奏します。
2,3カッコの小節には何も書いていない。ということは次のBセクションに進んでもいいということですね。
ちなみにポイント4つ目の、Aセクション頭にある、ドル($)に似た謎の記号。
これは「セーニョ」と読む記号です。
これの意味は後ほど説明しましょう。
Bセクション
- 4小節目末尾の「To Coda」とは?
Bセクションは4小節だけですが、「To Coda」という謎の言葉がありますね……。
これ、今は無視しましょう!
その意味は後々分かります。今はシカトしちゃいましょう!
C~Dセクション
- 伏線回収の「D.S. al Coda」
サビのような場所に突入していくと、8小節目の末尾に「D.S. al Coda」という記号。
これは「ダル・セーニョ・アル・コーダ」と読みます。
「セーニョマークのあるところに戻って、コーダのあるところまでまっすぐ進んでいくよ!」という意味です。
この意味、半分だけ分かりますよね。
それは、次にどのセクションを演奏するのか。
思い出してみてください。
Aセクションの頭にあったドル($)マークに似た「セーニョ」!
そう、ここに進めばいいのです!
となると現時点で曲の進行は
「イントロ~A~イントロ~A~B~C~A」
となります!
ここまでついてこれればあと一息!
ひと休憩入れて次に進みましょう!
記号やポイントを確認しよう後編
A→B→"D"!?
D.Sして曲はAセクションに戻りました。
今回は3回目のAセクションなので、2,3カッコに進みBセクションに進む。
ここまではいいですね。
さて、ここで2度目の伏線回収!
Bセクションの末尾にある「To Coda」の出番です。
先ほど出てきたD.S. al Codaには「コーダのあるところまでまっすぐ進んでいくよ!」という意味があると説明しましたね。
その「コーダのあるところとは」、この「To Coda」のところです!
この記号は「ここからコーダマークのあるところまで飛ぶで!」という意味です。
そしてコーダマークとは、スナイパーがターゲットを狙う時の照準のようなマークです。
ということはどこに行くかというと……。
Dセクションの頭にあるコーダマークまで飛びます!
これを見失うと曲の展開がぐちゃぐちゃ、とんでもないことが起こるので要注意!
Dセクション
- Gt solo→Pf soloの記載
- X? On Cue?
Dセクションは間奏的な扱いです。
まずポイント1。
Gt solo→Pf soloと書いてあり、これは「ギターソロ→ピアノソロの順番で演奏してください!」という意味です。
「OK! でもどれだけ演奏すればいいの?」
ここでポイント2。
XカッコとOn Cueカッコの存在です。
Aセクションで登場した1カッコ、2カッコは、1回目はこっち、2回目はこっちという意味ですね。
このXカッコ、On Cueカッコは
「何度も何度も、ずーーっとXカッコまでの4小節を演奏するよ! そして最後にソロを取る人の合図(=キュー)でOn Cueカッコに進むよ!」
という意味なのです。
つまりここの展開は
「ギターソロはずっとXカッコまでの4小節で弾きまくる」
→「Xカッコのままピアノソロに引き継ぎ、そのままXカッコまでの4小節で弾きまくる」
→「頃合いでドラム、ベース、ギター等他のメンバーに合図をし、On Cueに突入する」
という展開になります。
ソロを取る人は「ちゃんと分かりやすい合図を出す」
受け取る人は「合図を見逃さないようにする」
双方の集中力や気配りが重要ですね。
Eセクション
- 転調してることに気づきたい!
- リピート記号と3times repeatに注意!
ソロを抜けいよいよラスサビに突入しました。
ここで注意したいことは2つ。
1つ目、ト音記号の右側に突如出現した2つの#にお気づきでしょうか?
これは、ここからキーがDに変わったこと。
即ち転調(キーが変わること)していることを表しています。
調についての詳しい説明は省きますが、ここでの転調はJ-POPなどでもよくある「ラスサビで高くなる」というやつです。
次にリピート記号。
イントロでのリピート記号は特に何の記載もないので4小節×2=8小節を演奏しました。
ただここでは、末尾に「3times repeat」と書いてあることに気がつきますか?
これは「リピート記号で囲んである8小節を3回演奏するよ!」という意味です!
ということは、このラスサビ、Eセクションを3回演奏する、というのがこの曲の構成なのです。
これを見逃すと1人だけ次のセクションに突入してしまうので要注意!
また場合によっては4times repeat,6times repeatなど何度も何度もリピートすることもあるので、見逃さないようにしましょう!
エンディング
いよいよ曲も終わります。
ここでのポイントは1点。
4小節目に寂しげに書かれている「rit.........」という記載。
これは「ritardando(=リタルダンド)」の略。
「テンポを次第に落としていく表現技法」です。
絶対に聴いたことがある、最後ゆっくりゆっくりになっていって、ジャーーン!と締める、アレです。
これは曲の終わり感を強く表現できる効果があるので、これも見逃さないように!
最後に譜面を"読んで"みよう
各セクションごとの解説が終了しました。
これでみなさんはもう上にあった譜面を読めるはずです。
では、実際に以下の音声を、改めて以下の譜面を読み進めながら聴いてみましょう。
「ここはこういって、次にこう、最後にこう!」と合っていれば合格です!
さて、自分の読み進め方と音声は合っておりましたか?
合っていたならば、もうあなたはセッションやライブでこういった譜面を渡されても読み進めることができます!
おさらい
今回使われた記号をおさらいしてみますと
- リピート記号(3times repeat等もアリ)
- 1カッコ、2,3カッコ
- ソロ回し時のX、On Cueカッコ
- D.C.
- D.S.(al Coda)
- To Coda, Codaマーク
- rit
こんなところでしょうか。
他にも様々な音楽記号が存在します。
しかし、ことPops, Rock, Jazz, Fusion, Funk, Soul, etc......
ポピュラーミュージックで使われる、展開に関する音楽記号は大体こんなもんです。
これらが分かれば、どう展開していくのかは全く怖くないのです!
実際に譜面を使う際はこのように印をつける
では読めるようになったところで、実際にライブをするとしましょう。
このままでもいいのですが、白黒っていざというとき見づらくないですか?
「あれ、D.S.どこだっけ!? Codaは!? どこからどこまでリピート!?」
読めるようになってもこのように戸惑ってしまう不安もありますね。
そんな時は、こんな風に!
印をつけてあげると分かりやすいですね!
人によって異なりますが、僕の場合は
- D.C.は緑
- D.S.は黄色
- Codaはオレンジ
- リピートやカッコ他注意事項は赤ペン
のように、自分で決めごとを作って印をつけてます。
これでいざという記号を見逃してしまうこともなくなります!
最後に
今回の記事で、普段ミュージシャンが扱う譜面の大体のことは知れたことになりました。
人によって書き方が異なったり、複雑な譜面もあるのですが、大体は上記の記号の組み合わせ、応用です。
丁寧に読んであげれば、すべて解読することができるのです!
これが分かればセッションや譜面を扱うライブはお手の物。
是非今回学んだことを活かして、活動の幅を広げてみてください!