ベーシストが「頼もしい~っ!」と思うセッション中の出来事
集中短期連載「#頼もしくて恋するシリーズ」。
第4弾となる今回は「頼もしいと思うセッション中の出来事」です。
ジャムセッションでもセッションライブも、あくまでセッションなので基本的には何をやっても自由です。
ひたすらに気持ちいいサウンドを追及したり。
もしくはアイデアを音を介して入れ込んで、局面が変わるさまを楽しんだり。
セッションは色々な楽しみ方や楽しませ方、魅せ方があります。
その中でも、やはり「頼もしい」と思う出来事は存在します。
それがこちら!
ベーシストが「頼もしい〜っ!」と思うセッション中の出来事💡
— 青木務@エレキベーシスト (@tsutomushi_) January 27, 2019
①常に周りを見てくれる。
②バッキングを崩すのは機が来てから。
③キュー(合図)がめちゃくちゃ分かりやすい。
④「何をどのように」やりたいかが伝わる。
⑤ソロは絶頂までイキきる。
特に④⑤で恋します🌸#頼もしくて恋するシリーズ
このような点に気を配ってくれる方には思わず「しゅき」と伝えたくなります。
ではこれらがどんな事柄なのか、具体的に解説していきます!
あ、ちなみに!
やはりセッションは自由に、気軽に、羽を広げて楽しんで行うものだと思っています。
なので仮にセッションに参加する際に、これらの事柄をむちゃくちゃ気にしすぎてしまうと……?
本末転倒! セッションに参加する楽しさが薄れてしまう可能性もあります。
なので、まずは考えすぎないよう、気軽な気持ちでご覧いただければ幸いです!
①常に周りを見てくれる
周りを見る、といっても四六時中きょろきょろしているわけではありません笑
ここでいう「周りを見る」=「客観的に現在の状況を判断してプレイを選択してくれる」です。
「頼もしいドラマー」回にも共通した内容がありましたね。
これらはやはり全パート共通して言える事柄ですね。
どんな編成なのか。
今が盛り上げ時なのか、じっくりテンションを保ちたい時なのか。
周りの人がどんな演奏をしているのか。
例えばですが
- ギター、ベース、ドラムの3人で演奏する際
- Vo,Cho,Tp,Sax,Tb,Gt,Pf,Key,Ba,Dr,Percの11人の大所帯で演奏する際
- ベース×3、ドラムの4人で演奏する際
これらではそれぞれの役割は全く異なります。
さらに特に取り決めも無しに音を出すセッションの場合だと、誰がどんなことをしてくるか、実際に音を出してみないと分からない。
そこで、それぞれがどんな演奏をしているのか。
その場合、自分がどのような演奏をすればハマるか、良いアンサンブルになるのか。
その結果他の人が活きてくるか(ベーシスト目線が大きいかも)。
「それらを考えてくれている」と感じられる人は非常に頼もしいです!
もちろんセッションに参加して間もないころは難しい事柄。
なので、その場にいる参加経験が少しでも長い人が、積極的に考えてリードしてあげるとよいアンサンブル、よいセッションになりますね!
ちなみにジャムセッションの場合。
音を出したその場で
「お前ちょっとその演奏やめろ。別のことやれ」
こういうことを言ってくる人はいないのでご安心ください笑
まずはセッションには楽しんで参加して、余裕が出てきたらこの点を考えてみるのがよいですね!
②バッキングを崩すのは機が来てから
これもセッションのコツの1つですね。
ジャムセッションはたまたまその場に集まった人たちがいきなり曲を演奏するものですね。
例えて言えば、初対面の人5人が、観客もいる状態でステージに上がり、面白いフリートークを展開させようというもの。
それがめちゃめちゃ笑える面白いものになる可能性もあれば、むちゃくちゃに滑る場合も考えられますね笑
さて、例えばトークのお題が「天気の話」になんとなく決まったとしましょう。
始まりも展開も終わりも、何も取り決めされていないたまたま組み合わさった5人のフリートーク。
まずは場の様子や、組んだ人がどのような話し方、どのようなトークをするのかを探っていきたいというのが心情ですね。
しかし!
そこで5人の内1人が
「天気と言えば! あのー、えー、天気と言えばそう、温暖化現象! んでウチもクーラーついてなくてね~あー給料上がんないかな!」
と、場の雰囲気が定まっていない状態で場のテーマを特に意思もないまま崩しにかかってきたらどうでしょう?
やっぱり固まっていないものを崩してはまた固めることも難しいし、観ている側も困惑してしまうと思うんですよね。
その結果
「この合いの手は話しづらいな……」
「何かあの人のツッコミ、うるさいしメインで喋ってる人やりにくそうだなあ……」
なんて思われたらさあ大変。
書いてて背筋が少し寒くなってきました笑
セッションもそれと同じ。
最初は場のグルーヴが定まるまで、ひとまずアンサンブルを作ることに集中してあげると非常に頼もしいです。
すると崩しても元に戻る指標ができますし、そこから巣立ってまったく別の場所に着地することもできますね。
セッションに参加し始めた内はついつい
「なにか動きつけなくちゃ面白くないのかな!?」
「派手なフレーズ必要だよな!?」
と思ってしまいがちです。僕もそうでした。
でもむしろ逆!
自分ができることをしっかりとやるのが実は一番良かったりします。
そしてグルーヴが固まってきたなと思ったら、さらなる面白さを求めて崩してあげる勇気も大切。
それが上手くいってもいかなくてもいいんです。
もちろん気持ちいいグルーヴを最後まで突き詰め続けるのも大切ですね。
どちらを選ぶのも自由なのです!
最後に誤解のないように言っておくと、崩し方も戻り方も慣れてる人同士が行う初っ端からの崩しは非常にスリリングで面白い。
ただそこは経験のなせる業ですね。
やはり基本的にはしっかりと場のグルーヴを創りあげることに集中してあげると頼もしいです!
③キュー(合図)がめちゃくちゃ分かりやすい
ジャムセッションでもセッションライブでも、大事なのはキュー。
これは次の展開に進むことを示す合図のことです。
これについてはいくつか決まった種類があります。
- 指をくるくる回し、「同じとこ繰り返すよ!」というキュー
- 頭を指差し、「曲の最初、もしくはテーマに戻るよ!」というキュー
- 親指を首を横に切り、「ここでブレイク、もしくは曲終了!」というキュー
- 人差し指を鉤状にし、「曲のブリッジいくで!」というキュー
- ソリストが首を上げて周りを見る、腕を派手に上げてソロ終了を伝えるキュー
代表的なものでこれらがあります。
そして頼もしい人はこのキューが非常に分かりやすい!
モーションも大きく、場にいる全員に向けて出してくれます。
人によっては
「アタマ~~!」
「テーマ―――!」
「終わるよ~~~~!」
「ワーン、トゥー、スリー、フォーッ!」
と叫んで伝えてくれたりも。
最初はモーションをつけることに少しの恥ずかしさもあるかもしれません。
そこで勇気を出して場に指示を与えることができると、全員が次の展開に淀みなく進むことができ、セッションはとても良いものになっていきます。
そして!
これはどのパートにとってもありがたい項目ですが。
何故「ベーシスト目線」でこれを選んだか。
それは、ベースの音はアンサンブルの中で最も強くコード感や展開を決めることができる音だからです。
ベースのルート音が一音違っただけで、コードの雰囲気、ひいては曲の世界観はガラリと変わります。
そこがベースの面白いところでもありますね。
故に!
キューがベーシストに上手く伝わらないと、もしくはベーシスト以外に上手く伝わらないと。
曲の展開がぐしゃっとしてしまい、全員路頭に迷ってしまいます。
「え!? 今どこ!? ベースの音は次の展開いってるけど!? あれ!? 今何の時間!? 誰が何やんの!?」
下手したらそこで演奏が止まる危険性、事故る可能性もあったり……。
だからこそキューがめちゃくちゃ分かりやすい人=頼もしいのです。
仮に僕がサックスでソロを吹いていて、バンドで誰か1人だけにしかキューを出せないとなったら、迷わずベーシストにキューを送ります!
逆説的にベーシスト目線からすると、しっかり合図が欲しかったりするわけですね。
④「何をどのように」やりたいかが伝わる
難しい話! のようで、そうでもありません!
①②の話に近いものがありますね。
というのも、やはりセッションは何が起こるかわからないもの。
- 曲中で突然16ビートから4ビートに変える、シャッフルにしちゃう、ネオソウル風なまったビートをかましてくる。
- また不可思議なボイシングで場に浮遊感を与えてくる、むしろワンコードにしちゃう。
- 音数の多いリズムから少ないものへ、またはその逆にしてグルーヴを変えるetc.....
様々なやり方や手法があります。
そこで大事なのは、それらアイデアを一瞬だけ放り込んではい終わり、にしないこと。
バッキングを2小節だけ遊んで元に戻って、その直後また別のアイデア、別のアイデア、別のアイデア、別のアイデア……。
ある意味面白いですが笑 やはりソロを取っている人は困惑してしまうし、同じくバッキングを共にしている人も「何がしたいんだろう?」と思ってしまい、どう合わせたらよいかも分からなくなってしまいます。
ガッツリビートを変えるならそれが定着する、みんな察して乗っかってくれるまでやり切る。
そこからまた変化させるとするなら、タイミングを見計らってからが良いでしょう。
アイデアを放り込んでセッションを面白いものにすることはめちゃくちゃ大事だし、めちゃくちゃ面白い。
そこで大事なのが「何をどのようにやりたいかをはっきりと伝える意思表示」です。
セッションを面白くするために刺激をくれる人はとても頼もしい。
セッション参加したての方も、是非アイデアで場面を変えることに。
そして「こうしようよ!」と音で意思表示することにチャレンジしてみてください!
すると音楽の新たな扉が開けるでしょう。
⑤ソロは絶頂までイキきる
最後はこれ! 結局は感情ありきの項目です笑
特にベーシスト目線だからこそ、というのもあるかもしれませんね。
やっぱりセッションにおいて自由に、時間を好きに与えられているソロパートは醍醐味ですし、魅力です。
そのソロも、「うん、まあこんなもんでしょ」とさささっと終わってしまうのは、非常にもったいなかったり。
「順番が来たからとりあえずやるソロ」は逆に消化不良を起こしちゃう可能性もありますね。
「長くなってもいい! 一定の盛り上がりとオチがつくまでぶっ放すぜ!」
というソロはやはり非常に頼もしい。
ベースがゴールキーパー、ディフェンダーならソリストはフォワード。
「ボールが回ってきたら絶対点取る! 取れなくても絶対PKかコーナー取ってやるよ!」
という気概でぶっ放してくれるフォワードはやっぱり頼もしく感じます。
ちなみに僕は中学時代サッカー部でゴールキーパー担当でした笑
最後に
ここまで書いた上で、改めてセッションは楽しくて自由なものであるべき。
難しいことを考えずナチュラルに、流れに身を任せて行うのが一番だと思います。
ここに書いていることを全部実践しようと思っちゃうとなかなか大変ですよね笑
それに気を付けすぎても、何でセッションに参加しているかも分からなくなったり。
冒頭にも書いたように本末転倒ですよね。
これからセッションに参加し始めよう! と興味を持っている方も、どうぞ難しく考えすぎずに、気軽に参加しちゃってください!
ここに書いた難しいことは全部経験のある人がやってくれます笑
最初は考えすぎず、余裕がでてきたら少しずつ手を伸ばしてやってみるのがよいですね!