大学軽音サークルは、規模の小さなセッションミュージシャンの世界
3月下旬。すっかり春めいてきましたね。
前にちらっと
「卒業式は桜が散ってるイメージなのに、入学式は桜満開のイメージなのはどう考えても時空がゆがんでいる」
という文章を見ましたが、全くその通りだと感心してしまいました。
そんな入学式シーズン。
この春中学から高校、高校から大学に進学する、ウキウキされている方もいると思います。
そして大学進学において、選択肢の一つとなるのが「サークル選び」。
どのサークルに入るか、もしくは入らないかで大学4年間のすべてが決まる……。
いやまあすべてではないにしろ、未来が変わってくるのは事実です。
またサークルといっても、例えば軽音楽サークルや映画サークル、ボードゲームサークルといった文系サークルと、フットサルサークル、野球サークル等体育系サークルがあり、さらに同じ種類のサークルが2つ3つそれ以上乱立しており、もはや迷い放題。
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もちろん迷いすぎず直感で決めてもいいのですが、どれにしようか頭を悩ませてしまう方のが多いですよね。
ちなみに僕は軽音楽サークルに4年間所属していました。
兄の友人がそのサークルに所属していて、偶然大学入学前に会って話したことがきっかけでした。
そのおかげで4年間色々な、良い思い出から悪い思い出まで、本当に色々あります笑
では将来ミュージシャン志望で大学に進学した方はどうなのか。
どんな軽音楽サークルに入るのがよいのか。
いや、そもそも。
ミュージシャン志望は軽音楽サークルに入るべきか否か。
現役で活動するミュージシャンには、当たり前ですが大学の軽音楽サークルにいた人間、いなかった人間どちらもいます。
なので入るor入らない、どちらかでなければミュージシャンとして活動できないなんて絶対的な回答はありません。
しかしどうすればよいのか迷っている人もいるのではないか、とも考えております。
そんなお悩みの方々への一助として、軽音サークルに所属して気づけたことを一つ紹介します。
それは
「大学軽音サークルでは、規模の小さなセッションミュージシャンの世界を体感できる」
ということです。
- そもそも軽音楽サークルって何をするもの?
- 規模の小さなセッションミュージシャンの世界
- 学年によって誘われる理由が異なってくる
- 軽音サークルとセッションミュージシャンの共通項
- サークル時代、自分の誘いに変動がなければ気づけなかった
- まとめ
そもそも軽音楽サークルって何をするもの?
今回のテーマを説明する前に大事なのが
そもそも軽音楽サークルって何をするもんなのよ?
この前提を知る必要がありますね。
サークルによって異なる事項もあると思いますが、軽音楽サークルの活動は大体以下です。
- 月に1~2回ペースのサークル内ライブ
- 「大学公認の団体」として定期演奏会の開催
- 年に数回、学内他軽音サークル、他大学との合同ライブ開催
- 合宿やキャンプ、温泉旅行等大学サークルらしいイベント開催
- 幹部・役員等サークル運営を担っていれば上記に伴う会議等
- その他サークル特有のイベント
大きくこんなところです。
またそれぞれのイベントには大学生らしく当たり前に打ち上げが付き物ですが、出欠は自由です。
ライブについては、基本的にはライブ毎にサークル内でメンバーを募ってコピーバンド組んで演奏する、という流れになります。
サークルによってはオリジナルを作って発表する機会もありますが、9割はコピーバンドと思っていただいて大丈夫です。
人気、流行りのロックバンドを演奏してもみくちゃになったり。
逆にオタクたちがプログレやフュージョンを演奏してなんとも言えない空気になったり。
ちなみに僕はどちらかというと後者側でした笑
イメージとしては
- 基本はライブイベントを行う
- レジャーイベントは他サークルと変わらない
- 他軽音サークルと関わる機会もある
ざっくりとこう捉えていてください。
規模の小さなセッションミュージシャンの世界
前章では軽音サークルのイメージをざっくり掴んでいただきました。
ではここから本題。
今回のテーマを改めて確認します。
大学軽音サークルは、規模の小さなセッションミュージシャンの世界である
先述したように、僕は大学軽音サークルに4年間所属しました。
そして卒業後にミュージシャンとして活動を始め、現在に至ります。
そんな僕が当時を思い返してみると、大学軽音サークルの世界はセッションミュージシャンの世界に似ています。
セッションミュージシャンの世界とは
この記事内では前提として、セッションミュージシャンは主に演奏を主体として活動するミュージシャンのことを指すとしましょう。
もちろん演奏の他に講師業や裏方として制作業を行ったりと、活動の幅は人それぞれです。
ここでの定義はライブ演奏を中心としたミュージシャンとしましょう
例えばシンガーの方がバンドライブを行うとして、固定のバックバンドが無い場合はミュージシャンに声をかけていってバンドを固めていきます。
鍵盤、ベース、ドラムと一人一人に声をかけていく場合もあれば、ひとりバンマスに声をかけ、あとはバンマスにメンバーを集めてもらう場合もあります。
シンガーのいない、インストのセッションライブを行う際は主催のミュージシャンが声をかける場合がほぼほぼですね。
さて、この時ミュージシャンに声をかける「理由」にはどんなものがあるか
- 自分の理想とするステージにはこの人が必要だから
- 〇〇のジャンルをやるとき、この人はすごく素敵だから
- 逆にこの人に普段やらないジャンルをやってほしいから
- 話したことはないけど、以前どこかの演奏を見かけて素敵だったから
- まだ一回も共に演奏したことがなく、興味があるから
- キャラが良くて、一緒にいて楽しいから
- 経験を積ませたり機会を与えてあげたいから
- 単純に仲が良いから、その人と一緒にやりたいから
ミュージシャンがミュージシャンを誘う理由には色々なものがありますね。
僕が自分の演奏を組む際にも、場合によりけりですが大体はこうした理由で声掛けさせてもらっています。
他にもいろいろな理由が絡むパターンもありますが、ひとまずこれを軸にしていきましょう。
とにもかくにも、演奏を活動の主体とするセッションミュージシャン。
自分の企画でない場合、主催や参加するミュージシャンとの繋がりによって演奏に誘われ、参加し、報酬を受け取ります。
即ちセッションミュージシャンは繋がりによって成り立つもののようですね。
で!
仮に演奏に誘われる機会が年に1回だとどうでしょうか?
想像に難くない通り、その1回にとんねるずやダウンタウン並みの報酬がなければ生きてはいけませんね笑
具体的な数字は出しませんが、当然ながら演奏に参加する機会が多ければその分報酬を貰う機会が多くなり、結果収入が増えてきます。
働く回数が多ければ収入も多くなる。
これは子供も大人もミュージシャンも変わらない、この世の仕組みです。
ミュージシャンの場合は芸能人と同じく、上記の様々な理由から色々な人に声をかけられ、多くの機会をもらっている人が、俗に言う「売れてる」状態ですよね。
それだけが全てなのか!?
多く人前に露出する機会があれば偉いのか!?
等々の議論はありますが一度置いといて。
ここではわかりやすく「多くの機会を得ている=売れてる状態」と決めつけて進めていきます。
セッションミュージシャンの世界をざっっっくりと説明しました。
最後に、繋がりが多ければ勝手に演奏の機会が多くなるわけではありません。
しかし演奏の機会が多い人は得てして繋がりが多い、と捉えておきましょう。
軽音サークルの世界とは
さて、ここで話を軽音サークルに移しましょう。
大学は4年制なので、入学と同時にサークルに入る場合、留年しない限りは必ず4年間でそのサークルを引退します。
よって、軽音サークルの学年を仮にこう例えてみましょう。
- 1年生(19歳)……新人ミュージシャン
- 2年生(20歳)……若手ミュージシャン
- 3年生(21歳)……中堅ミュージシャン
- 4年生(22歳)……ベテランミュージシャン
実際に在籍していた感覚的にはこんな感じですね。
で、ライブを行う際には1~4年生関係なく互いに声をかけあってメンバーを集めるのですが、ここで誘い・誘われる理由を挙げてみます。
- 自分の理想とするステージにはこの人が必要だから
- 〇〇のジャンルをやるとき、この人はすごく素敵だから
- 逆にこの人に普段やらないジャンルをやってほしいから
- 話したことはないけど、以前どこかの演奏を見かけて素敵だったから
- まだ一回も共に演奏したことがなく、興味があるから
- キャラが良くて、一緒に演奏いて楽しいから
- 経験を積ませたり機会を与えてあげたいから
- 単純に仲が良いから、その人と一緒にやりたいから
と、理由を挙げてみましたが……。
全部同じ!!!!
ミュージシャンの世界で人を誘う理由と
全部同じ!!!!!!
やっぱりみんな人間です。
人が人と関わることに対する理由に、場や規模は違えど差はありません。
それが音楽に関わることであればなおさらです。
というわけで、大学サークルにおけるライブの露出も繋がりによって成り立つものなのです。
学年によって誘われる理由が異なってくる
セッションミュージシャンの世界も軽音サークルの世界も、誘い誘われの世界であること。
そして依頼をする理由はどちらも同じである。
繋がりのよって成り立つこともわかりました。
ただこの情報からはまだ読み取れないことがあります。
それは、誘い・誘われる理由は学年が変わるたびに変わっていくということです。
1年生はキャラ重視
突然サークルの中に現れた新人ミュージシャンである1年生。
彼らが誘われる理由は主に
- まだ一回も共に演奏したことがなく、興味があるから
- キャラが良くて、一緒にいて楽しいから
- 経験を積ませたり機会を与えてあげたいから
大学軽音サークルはあくまで大学生の集団なので、学内で顔を合わせたり関わる機会が必然的に多くなるという前提はありつつ、大体はこれです。
ぶっちゃけ
「どんなプレイヤーなのか」
よりも
「飲み会の時面白かったから」
「よくサークルに顔を出しているから」
という理由から誘いを受けることが圧倒的に多いです。
また、1年生だからとりあえず一緒にやろうよーと上級生に誘われることが多いです。
あとは、面倒見が良い人であれば機会をくれる的な意味で誘ってくれたり。
考えてみればそれは自然なことなんですね。
会って間もない人間の内面や理想や理念など分かりっこないですし。
それよりも「楽しそうな人、新しい人」と関わりたいという心理は人間なら当然。
もちろん一度ライブを経て「こいつ上手ぇー!」となれば誘いを受けることも多くなりますが、ここでは技術的なことには触れずにいきます。
1年生(新人)が誘われる理由は「キャラ・興味」が強いです。
2年生は様々な理由で誘われる
学年が上がって後輩も入ってくると、誘われる理由が増えてきます。
- 〇〇のジャンルをやるとき、この人はすごく素敵だから
- 逆にこの人に普段やらないジャンルをやってほしいから
- 話したことはないけど、以前どこかの演奏を見かけて素敵だったから
- まだ一回も共に演奏したことがなく、興味があるから
- キャラが良くて、一緒にいて楽しいから
- 経験を積ませたり機会を与えてあげたいから
- 単純に仲が良いから
先ほどのキャラや興味はまだ生きつつ、段々とその人の音楽的なパーソナリティが認知されてきます。
どんな音楽が好きで、その上でどんな音を出すどんなプレイヤーなのか。
得意なジャンルはなになのか、普段やらないジャンルは何なのか。
また多くの時間を共にすることによって、仲も深まっていきますから、仲が良いという理由で組もうぜーという誘いも増えてくるでしょう。
ちなみにそれは悪いことでもなんでもないので、誤解なきよう。
学年が上がったといいつつまだ下級生なので上からは可愛がられ、下からは年齢が近くて接しやすいと理由で多く誘われます。
また大学生らしい時間の使い方も覚え、就活なども絡まない時期なので時間もあります。
この時期が最もライブに誘われることが多いでしょう。
3年生はいよいよ音楽性重視
さらに学年があがり中堅に突入すると、誘われる理由が変わります。
- 自分の理想とするステージにはこの人が必要だから
- 〇〇のジャンルをやるとき、この人はすごく素敵だから
- 逆にこの人に普段やらないジャンルをやってほしいから
- まだ一回も共に演奏したことがなく、興味があるから
- 単純に仲が良いから
仲が良いからは常に生きてきますが、興味による誘いはどうしても少なくなります。
反対に、3年も同じ場にい続けると音楽的なパーソナルが重視され、決まったジャンルに誘われることが多くなります。
同じギタリストやベーシストでも、ポップスならこの人。ロックならこの人。フュージョンならこの人。ファンクならこの人。メタルならこの人。
その人が音楽的に優れているジャンルのバンドに誘われることが多くなり、また一緒に演奏する人々もなんとなく決まっていきます。
4年生は大団円なので例外がある
最上級生となると例外が多く出てきます。
サークル引退も迫ってるし最後に1回演奏しようぜ!
先輩、1回ライブしましょう!
という興味の誘いから
やっぱこのジャンルはお前だなー、という音楽的な誘い。
卒業前に1回普段やらないことやろうぜ、という記念の誘いまで。
この学年は先述した区分けではベテランミュージシャン扱いですが、あまり実際のセッションミュージシャンと同様には扱えません。
なので、共通項を見つけるのは1~3年生までにしましょう。
軽音サークルとセッションミュージシャンの共通項
以上に軽音サークルにおいて人が誘われる理由と、継続年数によって誘われる理由は変動していくと説明していきましたが、これってまんまセッションミュージシャンの世界にもあてはまると思います。
話題の、噂の新人ミュージシャンが出現したら、興味やそのキャラの良さからライブを共にすることがあったり。
また、顔を広められるような機会を与えてもらったり。
それから少し経ち、音楽的なパーソナルが固まれば特定のジャンルの界隈で活動する機会が多くなりつつ、まだまだ繋がっていない人も多く、興味から誘いをいただくこともあり。
ちなみに僕は2019年3月現在26歳なので、新人~若手(1~2年生)あたりにあてはまると思います。
中堅までいくと活動するジャンルや場所、人はほぼほぼ固まっていきます。
もちろん稀に普段やらないジャンルの演奏をすることもあるでしょうが、基本的には音楽的なパーソナルが完全に認知され、それに類する活動を行っているようです。
ベテランミュージシャン=4年生については例外を多く含んでいますので、実際のところは音楽的なパーソナルによる活動をされている、という認識で良いと思います。
サークル時代、自分の誘いに変動がなければ気づけなかった
さて、こうして色々な説を唱えてきましたが、何故こうした説を書き出せるのか。
それは僕がサークルにいた時代、徐々に誘いの数に変動が生まれたことに由来しています。
というのも、僕は1年生の頃から打ち上げやライブでガチャガチャ騒いでいたので、サークルに入ってすぐ先輩方に認知されるタイプでした。
よって色々なバンドに誘ってもらって、ポップスからメタル、フュージョンまで様々な演奏でステージに立っていました。
それから月日も立って、3,4年生になった時。
来月もライブやりますよーということで各々メンバー探しが始まったとき。
ふと気づきました。
あれ、今回なんか誘い少なくね???
僕はサークルにべっとりの人間で運営にも関わっていたので、企画される全てのライブに出ていましたが、一度のライブでバンドに誘われる回数に変動が出始めました。
多い回もあれば少ない回もある。
不安定な状態。
先輩たちの引退がすべての原因とはいえない、何か別の理由が存在している、けどそれが何か分からないというモヤモヤした現象……。
そんな状態が最後まで続き、無事4年で大学卒業、サークルも引退。
それから音楽活動を始めて色々ありましたがそれはまた別の話。
その違和感に、ある日ふと気がつきました。
「あ、俺器用貧乏だったんだな」と。
先述の通り僕はポップスからメタルまで、異なるジャンルの演奏を同時に行っており、そうすることが好きでした。
故に、僕には「〇〇のジャンルの人」というイメージが無かったのです。
ポップスならこの人、ロックならこの人、メタルならこの人という、誘う人間の第一選考に漏れ続ける、故に不安定。
これがセッションミュージシャンならば、機会だけではなく心身共に不安定になってしまいますね笑
反対に
「俺はポップスくらいしかやらないよ~」
とか
「古いロックといえばこの人だよな」
という、ジャンルのイメージがついている人。
そういう人は常に需要・機会が安定していたように感じます。
これはセッションミュージシャンにも、もしくは料理店にも、アパレルブランドにも、コンビニにも言えるんじゃないかと。
その店でしか得られないものを提供している店は”強い”んですよね。
高い安いに関わらず。
特別な料理を振舞う、特別な服を扱う、特別な商品を置いている。
それが、なんと大学の軽音サークルという世界にも適用されていたようです。
まとめ
改めて、大学の軽音サークルが規模の小さなセッションミュージシャンの世界と論じた理由。
- 人との繋がりによって演奏の機会が生まれるという仕組み
- 演奏に誘い・誘われる理由
- 年齢に伴う依頼理由の変動も似ている
- 安定・不安定の概念
こうした共通項が存在しているためです。
さらに、あえてこの記事では省きましたが、どちらの世界にもその人の性格や技術の問題も生じます。
またミュージシャンの世界になると、例えばそのミュージシャンの人気、それに伴う集客、報酬の関係、スケジュールの関係、企業との絡みetc......
また案件も人前の演奏だけではなく講師業やレコーディング、地方営業、制作業その他多岐に渡ります。
故に、軽音サークルを「規模の小さな」と表現しました。
もしミュージシャン志望で大学軽音サークルに入ろうか迷っている。
もしくは、現在在籍しているけど、これでいいのか、と思っている方。
そんな方がいたら、この視点を少し参考にして周りを見渡してみてください。
得られる情報はたくさんあると思います。
と、みんなで楽しむべくサークル活動にこのような概念を持ち出すことに多少の心苦しさを感じながらこの記事を締めます笑
とりあえずみなさん。
サークル活動の楽しみ方は人それぞれ。
好きに!
自由に!
楽しんでください!