青木務エレキベース教室WEB支部

札幌のエレキベースプレイヤー・講師による、音楽視野を1mmずつ広げられる情報を発信するブログ。

【ビギナー必見・実演付】指弾き上達のための3つのコツ

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皆さんはyoutubeSNS、ライブでベースの演奏を見る際に、どの部分を集中的に見ていますか?

恐らく、ほとんどの方が「ベーシストの左手」を見ているのではないでしょうか?

指板の上を縦横無尽に、滑らかに動きまくるベーシストの手つきや、しなやかな指先と手の甲に浮き出た血管……非常にセクシー! カッコいいし注目してしまいますよね

そこで「じゃあ俺も! 私も!」とコピーしようとするも、やはり最初の内は上手く弾くことができず……。

「左手が上手に動かない、早く動かせない!」という悩みもあると思います。

しかし! 実は憧れのプレイを実現させるためのポイントは別なところにあります。

より大事なのは、右手! 実際に弦を弾いて音を出す右手がとても重要なのです!

この記事では、そんな右手の指弾きの上達のコツを解説します。 

 

 

何故右手が重要なのか。

憧れのかっこいい、素敵なプレイを実現させるために何故左手より右手が重要なのか?

導入部分で書いた通り、実際に弦を弾いて音を出すのは右手の役割です。

単純な話で、どんなに左手が超絶に動き回ったとしても、右手がおぼつかなければそもそも音を出すこともできないですよね。

工場で製品を1時間1000個作れても、肝心の出荷が1時間に1個しかできないのでは意味がないように。

1時間1000個作れる工場には、同じく1時間1000個、いや、それ以上出荷できるシステムを用意することで余裕を持った経営ができますよね。

それと同じで右手は、出したい音のフレットを押さえ続ける左手と過不足ないコンビネーションを取ることができる技術力が必要です。

それほどまでに「音を出す側の手」は重要な働きを持つのです。

 

そして単純な技術の話だけではなく、実は上達にも関わってくるんです!

右手で良い音を出すことができるというのは、右手で楽器を上手く扱えていることと同義です。

これ即ち、憧れのプレイを実現させる準備が、練習に取り組む前から半分完了していることと同じです。

 

あれ? なんかシンプルな話に思えてきましたね!

そう、難しく考える必要は一切ないんです。

コツさえ掴んでしまえば、良い音を出し、それを体に馴染ませるは簡単な話なのです!

 

右手のピッキングはとても重要。

でも、重要なことがいつも難しいとは限らないです。

上達のコツ

 

では改めて上達のコツとは何なのか?

それは、フォームです!

一にフォーム、二にフォーム、三四にフォームで五にフォーム。

もうハッキリと断じてしまいます。

上達に大事なのは、良いフォームです。

大事なことなので何回も言ってしまいました。が、それほどまでに大切なのです。

 

なーんかフォームって聞くと堅苦しくて、地味な基礎練が必要なんじゃないかー? と思っちゃいますね。

それよか速く弾く練習しまくった方がいいんでないかー? と。

でも、想像してみてください。

足をばたつかせて、腕をぶんぶん振り回して、お尻を左右に振って走っている人がいたとしましょう。

その人が「ウサイン・ボルトみたいになりたいんです! どうすれば速く走れますか!?」と尋ねてきたとしたら。

僕は陸上などかじったこともありませんが想像できます。100人が100人とも「まず走り方を直せばいいんじゃない?」と提案すると思います。

 

歩くという行為は大体の人は常日頃行っていますし、走るという行為は遊びや教育過程で学んでいきます。

そうした経験や体感から、上記の例で速く走るためには、とりあえず変なフォームを直そうかと提案できますね。

それをベースに持ってきたらどうでしょう?

「憧れのプレイがしたい! 上達したい!」という希望に対し「じゃあまずはフォームだ!」と提案する理由がなんとなく分かるのではないでしょうか。

 

「よし! じゃあ良いフォームとやらで練習してみよかな! で、何をすればええんや?」

という声が聞こえてきそうなので、いよいよ画像付き実践です!

ここで前提としておきたいのは、良いフォームとは、すなわち良い音を出すための「要素」を満たしている状態です。

そして僕が「3K」と呼んでいる「要素」を紹介します。

3K、それは「角度、関節、こぶし」です!

角度

 

角度とは、指が弦を捉える角度です。

2フィンガーに必要な人差し指と中指の先が弦を垂直で捉えること。これが重要です。

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これにより、弦にしっかりと力を加えることができ、良い音でベースを鳴らすことができます!

反対に、避けるべきなのは以下。

 

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指先がボディの内側に向いている状態と、一見キレイに見える外側を向いている状態。

人差し指と中指では中指の方が長いので、内側を向いていると同一の弦を連続して弾くのに全く向きません。手首は楽ですが、弦をまっすぐ捉えられず上手くベースを鳴らせません。

また外側を向いている状態。これだと指先が内側を向いた時よりは揃えられますが、手首や指に非常に強い負担がかかりますし、これもベースを上手く鳴らすことはできません。

 

想像してほしいのは、ボクサーがサンドバックに向かっている姿です。

そのサンドバックを斜めから、内側に外側にかすらせるように打っているフォーム。

次に、まっすぐ正面から打っているフォーム。

今想像内で、どちらかがキレイなフォームで、強いパンチが打てていましたか?

あとはご想像の通りですね!

関節

次に、関節。

指の先側から第一関節、第二間接と呼びます。

まず第一関節ですが、これをピッキングする際に反らせないことが重要なポイントです。

 

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上が反った状態。下が反らせない状態

第一関節を反らせてしまうと、どうしても音が「ぬめっと」してしまいます。

具体的に言うと、アタック感が薄れ、音の輪郭がぼやけてしまいます。

弦のテンションに負けないように、下の画像のように第一関節を反らせないようにしましょう。

これだけで輪郭のある音に。エレキベースならではのくっきりした音を出せるようになります!

 

そして第二間接。これは稀ですが、第二間接を曲げるピッキングをしてしまうのはNG!

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関節の力のみでベースを弾くことになるので、非常に力を込めづらいのです。

また、どうしても弦を「捉えて→弾く」ではなく「弦を通過する」感覚になってしまい、逆にアタック感ばかりが強調されてしまいます。

もちろんアタック感を強調するためのピッキングをする場面は多々ありますが、少なくとも第二関節によるピッキングはしないものです。

 

第一関節は反らさず。第二間接だけでピッキングしない。これが重要です。

ん? じゃあどのようにピッキングすればいいの?

その答えが最後のK。「こぶし」です!

こぶし

 

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こぶしから先を動かしてピッキングしていくことが重要です。

2本足で歩くように、トコトコトコトコ……と。

こぶしは力が自然に入りやすいので、あえて力みまくってピッキングする必要はなく、自然と一定以上の力が加えられ、音圧のある音を出すことができます。

 

またここでもポイントが一つ。

指弾きする際は「弦だけ弾く」のではなく、弦の奥にあるベースのボディに向かって。そしてさらにその先にある自分の体目がけて指を押し込む意識を持ってみましょう。

それを意識したう上でこぶしから先で弾いてみてください。

……どうでしょう? 音の強さや太さ、輪郭が変わったのではないでしょうか?

これでベースの弾き方、ひいては鳴らし方である、と覚えてしまいましょう!

音の比較

 

さて、ここまで画像と文章で解説してきました。

もし今これを見ながら実践していただいた方がおりましたら、まずはありがとうございます!

なんとなく変わったかな~と感じつつ、こう思っていないでしょうか?

フォームごとの音を客観的に比較したい!」と。

まあまあ、そう焦らんでください。

ちゃんと用意しております!

 

それがこちらの動画!

前半は①指を内側に②第一関節を反らし③頑張ってこぶしを使わないようにしました笑

後半は①指を垂直に②第一関節は反らさず③こぶしから先でのピッキングです。

youtu.be

いかがでしょうか?

こんなに違うのか!」と驚かれると思います。

後者はキレイなアタックで、芯があり輪郭もはっきりした音になっていますね。

良い音を出すための良いフォーム。その要素を満たすだけで、音はこんなにも変わるものなのです。

まとめ

 

導入部分や「何故右手が重要なのか」でも触れたように、右手のフォームは非常に大切です。

その後大事な要素を学び、比較により音の変化も知ることができましたね。

さあ、あとはこれを常に実践し続けるのみです!

そうすればこのフォームが自分の体に染みつき、どんな状況でもこのフォームで弾き続けられる=常に良い音を出し続けることができます!

 

先の工場の例えでもあったように、もしかすると今は1時間に荷物を1個しか出荷できないかもしれません。

しかし、練習を重ねるうちに1時間に3個出荷できるようになったら? 10個、100個、10000個になったら?

工場でどんなに製品を作りまくってもまったく問題なしですね!

それと同じように、右手の技術が鍛えられれば、憧れの演奏ができるようになるにはあと半分だけ! あとは左手を鍛えるだけなのです。

 

この記事を見ていただいた方は、是非右手のフォームを観直してみてください!

一読いただきありがとうございました。