E7オンリー! ファンクフレーズ一週間エクササイズ★★★★☆
エレキベースの特権中の特権とはなんでしょうか?
持ち運びやすい、低音が痺れる、シンプルにカッコいい等々色んな意見があると思います。
その上で僕がこの質問をされたならば、即答でこう答えます。
FUNKであること。
そう、エレキベースが音楽史にもたらした最大の恩恵は”FUNK”であります!
ゆるくて粘っこいリズムやサウンド。”音”であるにも否応なく”匂い”を感じさせる低音。
かと思えば下半身を抉るような、踊らざるを得なくなる切れ味100%の鬼の16ビート。
現代でおいても多くのベーシスト、いや、ミュージシャン、いや、全ての人間を魅了する異臭漂う悪魔の音楽。
それがファンクであると感じます。
そしてファンクの畑からはこれまで数多くの名ベーシストが生まれ、今日までも名フレーズを生み出し続け、そして愛され続けてきました。
そんなファンクの音楽的な特色の一つは、「セブンスコード一発」。
コードが次々に移り変わり、それにより情景や感動を生み出す西洋音楽等とは真逆。
一定のリズムを保ち続けることによる生まれるトランス状態にも似た快楽を貪るようなグルーヴです。
そのグルーヴの決定的な核となるのがそう、エレキベースによるフレーズなのです。
「おお、ファンクってすげえんだな! 興味出てきた。でも何をどう弾けばええの?」
そう思った方がいましたら、これを機にファンクの道に足を踏み入れてみましょう!
この記事は、ファンクの名フレーズを1週間で学べる7つの譜例によるエクササイズ。
1日1フレーズずつ、丁寧に練習してみましょう!
さあ、ファンクの世界へようこそ!
- エクササイズフレーズを聴いてみよう
- 譜面付き各フレーズ解説
- Day1 Ace of Aces - THE FEARLESS FLYERS Bass:Joe Dart
- Day2 Pass it! - Papa Grows Funk Bass:Marc Pero
- Day3 Day Tripper - The Beatles Bass:Paul MaCartney
- Day4 Thank you - Sly & The Family Stone Bass:Larry Graham
- Day5 The Jam - Graham Central Station Bass:Larry Graham
- Day6 What is hip - Tower of Power Bass:Francis Rocco Prestia
- Day7 Give Up The Funk - Parliament Bass:Bootsy Collins
- エクササイズを終えて
エクササイズフレーズを聴いてみよう
※都合により数曲3カウントで始まっています
↑の動画にて今回の1週間フレーズを確認できます。
すべて「E7」というコードの中で奏でられるフレーズなのですが、どれも雰囲気の違うフレーズだということがおわかりでしょうか?
細かい点は各項目で解説するので、まずはなんとなく違うんだな、ということを頭の隅に置いといてください。
とにもかくにも、まずはやってみるに限ります!
では早速1日目、行ってみましょう!
譜面付き各フレーズ解説
Day1 Ace of Aces - THE FEARLESS FLYERS Bass:Joe Dart
- M6(C#=4弦9f)の音を積極的に使ったクセのあるベースライン
- 16分音符キメフレーズでの、M3(G#=4弦4f)からの半音上昇(=ファンクの鉄板フレーズ)
2018年に発表された、LAのミニマル・ファンクバンド”VULFPECK”のメンバーと名ドラマーNate Smithが手を組んだプロジェクト”THE FEARLESS FLYERS”の楽曲”Ace of Aces”より。
ポイントは上記の2点ですね! シンプルな音使いの中に、ベーシストJoeのセンスが垣間見れます。
また、E7のコード上でm7(=D)を使わないEミクソリディアンスケールのフレーズということも抑えておきましょう。
まずは初日ですが、早速難易度が高いですね!笑
Day2 Pass it! - Papa Grows Funk Bass:Marc Pero
- イーブンではないけどハーフタイムシャッフルまではいかない、絶妙にバウンスした16分音符
ニューオーリンズのファンクバンドPapa Grows Funkの楽曲より。
ポイントはリズムですね。決して均等な16分音符でもないけど完全にはハネきらない。「ややハネ」程度の16分音符のリズムが特徴です。
フレーズ自体の動きはさほど大きくはないので、絶妙なリズムを感じられるようにしましょう!
Day3 Day Tripper - The Beatles Bass:Paul MaCartney
- 一瞬放り込まれるm3(G=4弦3f)
- M9(F#=2弦4f)の使用→Eミクソリディアンスケール使用の示唆
これはファンクではないですが笑 有名なThe Beatlesの楽曲から、E7の印象的なフレーズがあったので紹介します。
ここで初めてm3(G)の音が登場しましたね。どうやらセブンスコードはメジャー系のコードではありますが、コードトーンではなくかつメジャー・マイナーを区別するはずの短3度の音がカッコよくハマるようですね。
ここはDay4以降にも、多ジャンルにも繋がる重要なポイント。要チェックです!
Day4 Thank you - Sly & The Family Stone Bass:Larry Graham
- 4分休符、8分休符をしっかり感じること。
- プルを16分音符1個分で切る。
さて、スラップの始祖であり、ファンクベースの御大Larry Grahamの弾く名フレーズ”Thank you”です!
これについては音使いよりも4分休符、8分音符・休符、16分音符などリズムをしっかり感じて弾くことを意識しましょう。
ちなみに原曲ではこのフレーズを約5分間休まずに弾き続けています笑 まさに一定のリズムの連続による快楽!
Day5 The Jam - Graham Central Station Bass:Larry Graham
- 12f,14f等ハイフレットでもサムでしっかりと鳴らすこと。
- 4分音符のフレーズから、Eマイナーペンタで弾いているフレーズだと理解すること。
- サムの連打でもしっかりと音粒がバラけないようにすること。
Larry Graham2連チャンです。
Day4の「待つスラップ」とは打って変わって「音を詰め込むスラップ」ですね!
スラップの練習フレーズとしてもってこいです。
4弦7f→9fのプル→ハンマリングのフレーズもきっちり鳴らし、次の1拍目を外さないようにしましょう。
Day6 What is hip - Tower of Power Bass:Francis Rocco Prestia
- 難関! 左手の人差し指はE(3弦7f)を押さえ、残りの指で弦に僅かに触れ、ミュートをしつつ実音を出す、ロッコ先生ならではのポコポコプレイ。
- 頻出する弦飛びフレーズ(3弦→1弦、1弦→3弦等)に対応しつつリズムを崩さない。
- #4(♭5)やM7を経過音として取り入れるミクソリディアンスケールの鉄板音使い。
さあこれは難しいですよ! ファンク史に燦然と輝く名曲”What is hip”!
ファンクを志す者なら一度は通る難関です。
この16分音符の連打、複雑なピッキングをマスターできればもう怖いものはありません!
ちなみにこの曲はここ以外のセクションも全て難しいので要注意です笑
Day7 Give Up The Funk - Parliament Bass:Bootsy Collins
- 16分音符、休符が入り乱れる絶妙なリズム。
- E→G(3弦7f→3弦10f)までの粘っこいスライド。
- 1→2→3弦までレイキングでキレイに弾ききること。
出た! ファンクを語る上では絶対に外せない、まさにキングofファンク! ブーツィー・コリンズ!!
レイキング、ハンマリング、スライド等様々な基礎技術を組み合わせており、かつ3つの弦に渡るレイキングを要し、リズムも独特。
さらにピッキングも絶妙なニュアンスであり、特に1弦のスタッカートは非常に豪快かつデリケート。まさに究極のファンクフレーズです。
これを弾ききってこのエクササイズを気持ちよく終えましょう!
エクササイズを終えて
いかがでしたでしょうか? 今回のE7オンリーファンクフレーズ1週間エクササイズ。
1週間シリーズ一発目にしてはなかなかの難易度だと思います笑
ちなみにここまでやってきましたが、なにも一週間で全て完成させなくても構いません!
むしろまだ難しいな~という箇所は時間をかけて丁寧に練習していきましょう!
今回はE7のフレーズに縛って紹介しましたが、どのフレーズも超個性的でありキャッチ―であり、カッコいいフレーズ。
そう、音楽は仮にコードが同じでも、そしてそれ一発で曲を作るとしても、フレーズは無限なのです!
さらにファンクのフレーズはもちろんE7だけではありません。
様々なコード、様々な進行のファンクナンバーで溢れています。キリがないほどあります。
これでファンクに興味を持った方々、是非今回紹介したバンドから色々掘ってみてはいかがでしょう?
そこには新たな音楽の道が広がっていると思います!
最後になりましたが、今回紹介したフレーズは、ベースの技術や音楽の視野を向上、広げるのにうってつけなフレーズばかりです。
是非挑戦してみてください!
ご一読いただきありがとうございました。