「簡単な曲」という概念とその扱い方。
楽器を弾くことに慣れる、技術が上達していくに連れ、色々な曲を弾けるようになってきます。
前は上手く弾けなかった曲が弾けるようになり、「前より上手くなっている!」と実感する瞬間は、楽器のみならずなんの分野においても最高ですね!
そしてできることが多くなると、これまでこの世に存在しなかった概念が存在してきます。
それは「簡単な曲」という概念です。
ベースでいえば、ほぼルート弾きだけであまりテンポは早くなく、コード進行や展開も少ない、練習に練習を重ねなくても通して弾ける曲、など。
上達するにつれ、容易く弾ける曲の割合は高くなってきます。
そして仮にこの「簡単な曲」をバンドなどで演奏する時、つい流しがちになってはいないでしょうか?
それではただ音を出しているだけ。ただの時間の浪費になってしまいます。
ではただの浪費にせず、「簡単な曲」に意味を見出すためには?
答えは単純。演奏をする、より高度な楽曲を弾く際の要素をより強く意識してみればよいのです!
・右・左手のフォームの見直し
・合理的な運指の確認
・右手の適切なタッチの研究
・前ノリ、ジャスト、後ノリなどリズムの操り方
・アンサンブルの中で他楽器とどう絡んでいるかの確認
・プレイに余裕がある際のパフォーマンス
ざっと軽くあげてみても、これだけのことを曲中に意識できますね!
「もうこの曲練習しなくても弾けるから意味ないなー」と思っている曲を演奏する場合、むしろ曲中にアンサンブルの中でこの重要な項目を確認、修正するチャンスと捉えましょう!
するとその曲の捉え方は「簡単な曲」ではなくなるでしょう。
そして「簡単な曲」という概念。これは取っ払ってしまった方がよいと思います!
一度技術的に簡単と断じてしまうと、それに類する曲やもっと容易く弾ける曲を「技術的には簡単」と断じてしまい、音楽的な視野を狭めてしまうからです。
なので僕は演奏の場、レッスンの場では「簡単」という言葉は使わず、「シンプル」という言葉を使うようにしています。意味合いよりはニュアンスの問題ですね。
もしもある楽曲を簡単と捉えている人がいたら、もっと大きな視野で音楽を捉えてみるのはいかがでしょう?