ライブは100点が100点じゃない?
音楽にまつわる不思議な話。
ポップスでもロックでも、ジャズでもヒップホップでも、音楽はやはり生、ライブが醍醐味、という方は多いと思います。
そんなライブにおける、成功と失敗って何でしょうか?
ビジネス的には集客等々も含めてになりますが、ここではそれは除外します。
端的に言えば、観ている人が楽しめたか、満足できたかどうかである、と僕は感じています。
音楽は芸術であり、エンターテイメント。
アマチュアだプロだと定義せず、どんな状況であろうと大事なのはあくまで「観ている人の感情」です。
これを意識した時に、不思議なことが起こります。
歌でもインストでも、仮にとてもそつなく、ミスなく、ハプニングなく、MCも流暢、滞りなく進んだ台本通り100点の演奏があったとして。
しかしそれが果たして100点のライブかと問われると、実はそうでなかったりします。
それよりも、曲中に多少のハプニングがあってもその場の機転で新しい何かが生まれたり、MCが噛みまくってもメンバーや観客がツッこんで笑いが生まれたり。
そうした瞬間に「面白さ」は生まれます。
また格好つけたアクションを試みて、失敗してずっこけても、観客さえ「それすら楽しい、結果的に面白かった」と感じれば、それは減点されるミスではなくなります。
ヴィクター・ウッテンが、フリーなベースソロ中に弦を切ってしまうも、残った弦で見事に起承転結が感じられるソロを弾きこなし観客をもっと沸かせる演奏をしたり。
ハーマン・リーがライブ中にギターを使ったアクションをした結果ストラップが外れる、ネックが折れるなど。(日常茶飯事)
こういった例も該当するでしょう。
もちろんこれらはミスをしてもいい、ハプニングが起こってもいい、という免罪符ではありません。
仮に数万人が動員されるドームクラスのライブで進行に滞りが出るレベルのミスやハプニングがあったり
小さいライブハウスでも観客の心が冷めるようなミスがあれば
それはただの「ライブの失敗」です。
こういった例を出した上で、つつがなく、ミスもなく、その代わりに大きな山場もなく観る人を刺激できないライブがあったとしたら、やはりそれは100点のライブとは言い難いですね。
観ている人が楽しめなかったとしたら、どんなに欠点のないライブでも、それは失敗なのです。
あくまで大事なのは、観ている人が楽しめるかどうか。
それを念頭に置いとライブを行うと、また一つ視野が広くなるでしょう。